晴れ渡る五月に負けそうになるけど

  楽しいことならなんでもやりたい
  笑える場所ならどこへでも行く
  悲しい人とは会いたくもない
  涙の言葉で濡れたくはない
  青空 あの日の
  青空 ひとりきり
  (井上陽水「青空ひとりきり」)

記憶で書いたけど、間違ってるかしらん。
向井くんのブログを読むと、あれからわめぞ民たちは、深夜にかけて、西へ西へと大移動したみたい。なんだか体育会系の古本サークルの趣きが。あるいは古本二百三高地。しかし楽しそう。楽しいのが一番だな。そうか、『海炭市叙景』が見つかったか。
昨日は堀内誠一『父の時代・私の時代』の書評を書き倦ね、舞い込んだゲラを処理し、一日が過ぎる。夕方、昨日上々堂へ忘れたマイバックを取りに。スケジュール帳が入っていたので、これがないとお手上げなのさ。昨日仕込んだ、小林信彦荒木経惟『私説東京繁昌記』の単行本がいきなり売れていた。店番のあやさんから、さっき沖縄「とくふく堂」の店長が来ていたと聞く。実家がこの近くらしい。「日本でいちばん狭い古本屋」は、最近、すぐ隣に「日本でいちばん狭いブックカフェ」を開いたらしい。行きたいなあ。どこかの雑誌で、行かせてくれないかね。「とくふく堂」は75センチ×180センチの、向井くん一人が床に寝そべったらそれでおしまい、というような店だ。住所は那覇市牧志3・3・1。店長さんは僕のことを「古本番長」と名づけてくれたようだ。古本番長、というネーミングは新しい。ぼくは荻原魚雷くんを「古本侍」と秘かに名づけている。
天気はよく、風が少し強いが、晴れ渡る5月の夕風のなか、商店街をそぞろ歩くのは、晴れ渡る5月の夕風のなかを商店街を歩くような気分だ。西荻へ移動し、音羽館、興居島屋へ寄って帰る。音羽館では、均一含め5冊で900円を買う。原武史『鉄道ひとつばなし2』講談社現代新書は読みたかったのでちょうどよかった。300円。均一で、「丸」付録の『世界の空軍・名機100選』(73年2月)を買う。ライト兄弟複葉機に始まり、各国の戦闘機を中心に写真で紹介したガイド。宗旨違いなれど、見ていると面白いので。国立「ブ」で、ビデオ『死刑台のエレベーター』を買う。
夜、ビデオで、ブレッソン『スリ』を見る。何十年ぶりか。ちょっと「罪と罰」を思わすテーマあり。古本がいっぱいの小さな部屋に住むスリの主人公。離れて暮す母親を見舞ってくれる美女ありき。スリの手口があれこれ出てくるが、3人がチームで組んでスリをするシーンの、音楽的な映像の運動に目を奪われる。しかし、やっぱり『ラルジャン』だ。
伊丹十三の本』を読みながら、伊丹十三について考える。