小平中央図書館、学習院、往来座、ラルジャン

夜中の3時半、5時前、6時と断続的に目覚める。こういうこと珍しい。いずれも、「たどり着けない」「帰れない」という夢を見る。朝食とりながら、「世界わが心の旅」再放送を見る。カンサンジュが20年ぶりに、留学先のドイツの街へ。そこで知り合った親友との再会を果たす旅。ミュンヘンからギリシアクレタ島へ。あのクール・カンが、人々と踊り、親友との再会に何度も熱く抱擁し、ボロボロ泣く。いいものを見たなあ、という感じ。
昨日は、朝、妻から「今日、小平中央図書館の古本市よ」と言われ、あっ!と叫んで、急いで支度し、家族で向う。開場前に長蛇の列。ほとんど男性。児童書、絵本を買いに来た、いたいけな、善良な母子連れは、その血走った熱狂を前に「え、なに、これ? バーゲンみたいね」などと言ってる。単行本20冊、文庫16冊を買う。それで1000円いかないのだ、たぶん。
会場を出て、妻と娘を待っていると、ベンチにいた若い男の子が立ち上がり、「あの、失礼ですが、ひょっとして……」と声をかけてくる。古本市会場で、よくこういうケースがあるから、(岡崎さんですか?)と問われることを待機していたら、予想外のことが。彼は「みなみらんぼうさん、ですか」と言うのだ。みなみらんぼう! たしかにメガネ、ひげだけど、同じなのはそれだけじゃん。みんな、いかにいい加減に、人の顔を見ているか、がわかる。しかし、これはいいネタをもらった、と思い、ずっとニヤニヤしていた。家族でジョナサンで昼食。小平駅から高田馬場へ。歩いて学習院生涯学習センターへ。途中、「ブ」に立寄り、「ある愛の詩」のパンフを200円で買う。次の「buku」に書く原稿の資料なり。
学習院の講座は10名が出席。男6、女4、半分は顔見知りなり。ちょうど1時間半で終る。最近、このちょうど1時間半、というのが体内時間でわかってきて、本当にちょうどで終えるようになってきた。伊藤茂次詩集『ないしょ』、太宰治の短篇、ブンブン堂のグレちゃん、などを紹介。
大山さん、岩井くんと講座の常連となった二人と学習院を後にし、ぼくは往来座へ移動。ここで進学レーダーの取材を受ける。聞き手はナンダロウくんだ。往来座で写真を撮られていると、本を売りに来た、若い女性がいて、瀬戸くんと話している中で「古本道場を読んで」というフレーズが耳に入る。あそこにいるのが著者の岡崎さんですよ、と言われる。なんという偶然か。このあと、喫茶店で話していると、小三治さんが入って来る。行きつけの店だと聞いていたが、本当に入って来た。途中から、そっちに意識がいって、気が散る。その前にちょうど店に入ってきた、Y&NコンビのYくんが小三治さんの目の前に坐る。店を出るとき、Yくんに「ええなあ、特等席で独演会やな」と言う。
国立まで戻るが、腹が減り、どこかで食事をと思い、その前にディスクユニオンへ。往来座で瀬戸くんからもらった売り上げ金で、バカラック&デイビットの曲をいろんな歌手が歌ったアルバムと、小川美潮檸檬の月」(小川は市川準「つぐみ」の音楽で認識)、「吉田拓郎ワン・ラスト・ナイト・イン・つま恋1985」(2枚組)を買う。
帰宅してからは、もう何もやりたくない。ビデオでブレッソンラルジャン」(先日、CSで観てて眠くなって止めた)のを、ちゃんと見る。2度目。うーん、とうなる。俳句のような省略と象徴、あとは絵の力で見せていく。観客を甘えさせない。かんじんのことは、直接描かないので、鈍い人には何のこっちゃ、さっぱりわからんだろう。もう一度、じっくり観て、何か書きたくなった。これはヒッチコック熱の伝染なり。