『闇のなかの祝祭』ささまで安々と入手

一昨日、夜、日本映画専門チャンネルで、伊丹十三のドキュメントを見てたが、これがおもしろかった。伊丹は松山出身だが、中学校は京都。天才児ばかりを集めた理系の英才教育を受けている。戦時中に英語を教えていたというからすごい学校だ。下宿のおさんどんをしに来ていたのが、野上照代。のちの黒澤映画のスクリプター。このドキュメントでは、テレビ時代の伊丹の仕事、「遠くへ行きたい」や、ワイドショーの事件レポーターなどを、当時の画像を使って紹介していたが、テレビCMを含め、伊丹の才能はテレビでもっとも生かされたのでは、とぼくは思った。
事件現場をスタジオで伝えるのに、ボードを肩に乗せるかたちで、フェルトペンでまたたくまに絵で再現していく、その正確な描写力はほとんど魔法だ。また、お蔵入りの事件を扱い、資料はモノクロ写真2枚、でほとんどお手上げであるのを逆手に取り、その2枚を大きく引き延ばしスタジオで、気象学、植物学などの専門家を呼び、その写真から何が読み取れるかを語らせる手法など、斬新なドキュメントの手法を次々、自ら演出、出演して繰り出していく。ほとほと感心させられた。
自分ではやっと巡り会った天職と信じた映画はどうだったろうか。伊丹が生き生きするのは、自分が出演する時で、役者に託した映画ではそれが空回りしていたように思う。「マルサの女」以降、伊丹の映画に見るべきものはなかったように思う。伊丹が作ったテレビ映像は見たいものばかり。
昨日、村松友視『淳之介流』を読み終え、『闇のなかの祝祭』を参考に読もうと、文庫棚の
吉行淳之介を集めたところへ行くが、講談社文庫のそれだけがない。持ってるつもりだったが。この文庫を探すぞと心に決め外出。この日はサンデー毎日
サンデーで仕事をしていると、話したことがない編集部の女性から「古本屋のことでお聞きしたいことが」と切り出され、何かと思うと、驚くべき人物が、神保町の古本屋を回りたいと言っているので、そのアドバイスをという。もしそれが実現すれば、神保町史にゴチック体で残る事件となる。
一階上で仕事をしている魚雷くんがやってきて、石田五郎『天文まんげ鏡』をぼくにくれると言う。ありがたし。26日に迫った『古本暮し』の出版記念会について、少し話す。発起人となってるぼくとしては、どうなっているか心配していたのだ。楽しい会になりそう。
サンデー終え、神保町へ。三省堂神田本店で、『読書の腕前』25冊にサイン、イラストを入れる。今回、色鉛筆の入った筒を持っていったので、いつもより色を足して描く。
文省堂100円棚で、三浦朱門武蔵野インディアン河出書房新社を発見。これも前から欲しかったものなり。中央線小説の傑作なのだ、これが。いきなり昭和初期の武蔵境周辺から話が始まる。
「ささま」では、軽々と『闇のなかの祝祭』を入手。210円。均一で小林亜星『軒行灯の女たち』光文社文庫大島渚作品集『日本の夜と霧』現代思潮社阿川弘之『乗りもの紳士録』kkべすとせらー、星新一『進化した猿たち』早川書房を買う。ついでに荻窪「ブ」へ寄ったら、驚いたことに、単行本105円がすべて200円均一に変わっていた。これはセールではなく、ずっとこれでいくってことだ。
当然と思っていた光景が、眼の前で変わると、シュールに見える。どうせ、値段を変えただけか、と思ったら、そうでもない。けっこうランクアップしている。例えば、山本容子『女』、森茉莉『魔利のひとりごと』、高橋英夫『ドイツを読む楽しみ』、大森・豊崎『文学書メッタ斬り! リターンズ』、村上春樹『ふしぎな図書館』ほかが拾えた。いまセドリ甲斐があるのが、200円荻窪「ブ」だろう。
以上。今日は雨だし、一日みっちり仕事をします。御安心ください。
あのう、このブログのトラックバック機能の欄に、見た覚えのない項目がつぎつぎと出てるんですが、どうなってるのか。「ほしのあき」とか、知らないよ、ぼく。いや、ほしのあきは知ってるけど、そのほか身に覚えのないものが。福島母殺害少年写真とか、見たくもないもの。これ、機能自体をはずすことはできるのかね。