沈黙の声が聞こえる

一昨日深夜、ヤマケイジョイの原稿をやっと書く。辻まこと『画文集 山の声』ちくま文庫について。西木正明『夢幻の山旅』を読み直したり。こういう仕事のために、ある作家のことを、読んだり、考えたりするのは勉強になる。ちくま文庫の帯「沈黙の声が聞こえる」はいいコピーだ。
ヒッチコック北北西に進路を取れ」をビデオで観る。何度観てもおもしろい。間違えられた男、犯罪に巻き込まれ、金髪美女との遭遇と救済、モニュメント的高所でのハラハラドキドキなど「逃走迷路」と類似点多し。しかし、プロットの緻密と、映像の強さは「北北西」に軍配が上がる。最後、敵が潜む山荘はフランクロイド・ライトっぽい設計で、かっちょいい。逃走に使う飛行機もいいや。
昨日は昼食後、「ちくま」5月号が国立「増田書店」カウンターに置かれていた。ぼくの連載はトンカ書店さん。「増田書店」でサインした『読書の腕前』が、どうやら売り切っていたみたい。最後、2冊ぐらい残っていて、気になっていたのだ。最後は自分で買う、とまで思ったが。ほっとする。新潮文庫2007年4月目録、白水社新書2006年カタログをもらう。
そしたら三省堂神田本店のMくんから電話あり、また『読書の腕前』にサインの依頼。100冊、また注文してくれたという。ありがたい話なり。
谷川書店で西江雅之『旅人からの便り』リブロ80円、海野弘『流行の神話』フィルムアート300円(サイン入り)、阪田寛夫『まどさん』ちくま文庫100円と、ここいらは仕入れ用。ほか数冊。
銀杏書房の店頭で、エリオット・アーウィットの洋版写真集「Hand Book」が、表紙にキズありで、1050円で出ていた。パラパラ見たら、人の手の動き、表情の面白さに着目した写真集で楽しい。買う。
夜、ヴェンダース「ベルリン天使の詩」を観る。ちょっと恥ずかしいタイトル。しかし久しぶりに観て、引き込まれる。天使のつぶやき、人々の内面の声(それが天使には聞こえる)がちりばめられ、たしかにそれは詩に聞こえる。「この世に残されていい存在は、雀だけだ」なんてね。このシナリオが欲しくなった。
ピーター・フォークが本人の役で出演しているのがおかしい。ベルリンの若者に「あ、刑事だ」なんて言われて。これは「刑事コロンボ」のこと。「刑事コロンボ」はドイツでも放映されていたのか。「うちのカミサンが」というのはどういう訳(吹き替え?)になっていたのか。