地球もまたひとつの天体

23日、薄ら寒く風の強い日、音羽館に用事があって妻と車で西荻へ。
「ばるたざある」で定食を。「にわとり文庫」を覗いたら、レジで旧姓西村博子さんが本をじっと読んでいる。近づいていって声をかけると、ぱっと顔を上げ、そのあと、ぱっと顔が明るくなり「ああ、どうも」と。少し楽しくお喋りしながら、ぼくの本があったので数冊、サインとイラストを入れる。博子さんとハルミンさんは、そのむかし、一緒に水泳に通っていたそうだ。エロおやじのぼくは「ビキニでっか?」と聞いたら、「競泳用水着でガンガン泳いでました」ですとさ。「にわとり」さんでは挨拶がわりに何か買おうと思っていた。こういう時、便利なのが講談社文芸文庫。未所持の堀田善衛『歯車/至福千年』を840円で。
音羽館では広瀬夫人から、「マイブック」の新ネタをいただき、佐藤泰志の著作が杉並区中央図書館にぜんぶ揃っていることを教えられる。均一で二冊、なかで、ジャン・バンヴィル『ケプラーの憂鬱』(工作舎)を1000円で買う。このところ、天文台を舞台に、あるいは天文学者を書いた小説を探していたのだが、これがそう。編集者は、あの石原剛一郎さんだった。
椎名誠土星を見るひと』(新潮文庫)の表題作が、三鷹天文台土星を観察する男が出て来る話だと知り、夕食後、国立「ブ」まで散歩がてら歩き、見つけて買う。近くの喫茶でこれだけ読む。いい。そうか、椎名誠はこんな素敵な短篇を書くんだ。自伝的な長篇は読んでいたが。「ブ」ではそのほか、古在由秀『地球をはかる』岩波科学の本などを。そうか、天文学は、宇宙を観察するだけでなく、地球も観察する学問なんだ。地球もまた、ひとつの天体だからして。
妻が帰ってきたばかりの金沢から、少しおもしろい仕事の依頼が入りそう。まだまったく未定なので、決まったら発表します。しかし奇遇だなあ。