コクテイルの夜は「函だけの女(ひと)」

15日、晴れ。夕方まで仕事。
夕方、家を出て高円寺めざす。荻窪で途中下車。「ささま」店頭でがさごそやってたら、「岡崎さん」と声をかけられる。植村達男さん。わりに近くに住んでいて、顔を合すこともなかった。お茶でもとお誘いし、あわてて、『下町の文学散歩』という新書と、東京創元社、世界推理小説全集『秘密諜報部員』はモーム、というより、これは今夜「コクテイル」で話す「函」話に持っていくつもり。花森安治装丁なり。
植村さんと少しお話し、荻窪へ。少し早く着いたが、都丸が休み。そのほか、越後屋も、キッチン南海も休んでいてあてがくるう。こうなると身の置きどころなく、中央書籍あたりまで戻り、店頭均一を覗いていると、ナンダロウ、退屈男、アクセス畠中諸氏と遭遇。「コクテイル」ヘ。
この夜のコクテイルは、知ってる顔ばかりで、死後、ぼくの魂がうろついて、懐かしい顔が集まったところへ引き寄せられたような感じだった。うまく言えないが不思議な気分だ。なんだかふわふわとニコニコと幸せな気分。初めて紹介された人も幾人かいて、それはまた有益な出会いだった。2次会で、例によって塩山さん炸裂! しかしどこかチャーミングで、毒も糖衣にくるまれて笑える。毒は笑えないときびしいが、初期のたけしを思い出す。
ぼくが挙げた「函」は、村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の旧単行本と、高田義一郎『世相表裏の医学的研究』、それにタテキンの無料箱からもらった、誰かの句集の函だけを『ミラー ダレル往復書簡集』の裸本に使ったもの。
ほんと、函だけの話。「はるばる来たぜ 函だけー」という感じ。