城山三郎さん死去

いそがしい一日。昼前、東京堂でようやく、『読書の腕前』に一時間ほどかけて、サイン、イラストを入れる。50冊近くしたか。途中、何度か手が動かなくなり。ひどいものも混じっているけど、許してください。さすがに限界で、ストップ。しかし、これぐらいのことで売れるものなら、いくらでもサインは入れたいという気持ち。
タテキンで文庫一冊だけ拾い、サンデー毎日へ。送ったはずの中野晴行さんのチェックゲラが届いてないという。届いていないのだから、こっちが悪いのだ。善後策を考える。サンデーの書評終え、毎日新聞文化部の取材を受ける。著者インタビュー。エコノミスト、というのは勘違いだった。よく考えると、エコノミストにぼくの本の書評が載るわけがない。
このあと、4月から始まるコラムの打ち合わせ。終えて帰宅すると、毎日から、「城山三郎さんが死んだ」の報が入る。1月終わりにお目にかかって話を聞いてきたばかり。びっくりする。その時の様子を記者に話す。最後近くに取材した人間ということらしい。海の見える部屋の長椅子で、膝下から毛布をかけ、じっと座ってらした姿が思い浮かぶ。『湘南』というエッセイ集を、「ぼくは、これを詩集だと思って読みました」と告げると、「ほう、それはうれしい」と、ほんとうに喜ばれていた。これで城山さんの本を作る仕事はダメになったが、それでもお目にかかったこと、ムダとは思わない。よかったと思っている。
そのほか、電話、ファクス、携帯、留守電、メールとゲラの送付を含め、雨あられと飛び込んでくる。
ヤマケイ・ジョイで取り上げる、ガストン・レビュファ『星と嵐』新潮文庫をひたすら読む。
『読書の腕前』の礼状、あちこちから届く。黒岩比佐子さんもわざわざ買ってくれたようだ。こちらから送らねばならぬところ、恐縮する。中公文庫限定復刊の『黒岳の魔人』三冊、とどく。解説エッセイを書いたのだ。