突風ふきすさぶ「外市」はあたたか

突風吹く池袋は、すごい人出。道路をイクラのように人が埋め尽している。東京は人が多い、とバカみたいな当たり前のことを、いまさらながらあきれるようにただ考え、サンシャインへ。ここの古本市を覗くのはひさしぶり。どうすれば、会場へたどりつけるのか、まさに「シティ」と化した巨大な建造物のなかをさまよう。
サンシャイン古本市の会場は広い。ここをたんねんに見ていった日には2時間、3時間かかるだろう。背に目を滑らせて一巡。いちばん滞留時間が長かったのが「銀荘堂」(川越)で、あとで岡島くんに聞いたら、「ああ、それ、頭突ですよ。頭突が移転して銀荘堂になったんです」と教えられる。埼玉に頭突書店というのができた、と思ったら、川越に移っていた。
ここは雑本が多く、ぼく好み。小学二年生ふろく「ひこいちとんちばなし」という付録マンガ、昭和13年個人の肉筆日記は映画に関する記述で占める、1962年、69年の「平凡」歌本、小学館の子供向け入門百科『宇宙と星のふしぎ』と以上が315円。あと、ずいぶん迷ったあげく、アニメのソノシート本『冒険まんが JQ』を2625円で買う。2度と巡り会うことはない、と確信したからだ。でも、あとで点検したら、ソノシートが一枚、切り取られていた。
サンシャインの人ごみを抜け、同じ西口ながら、ずいぶん離れた「往来座」を目指す。路上で退院してすぐの河上くん、内澤さんとばったり。内澤さんが、河上くんのぷっくりした顎から喉を指差し、「まったく、どこを切ったんだ、っつうの」と突っ込む。さすが『世界屠畜紀行』の著者なり。
このあと、見知った顔がずらり並ぶ、往来座外市」へ。瀬戸くんが、落ちつかなさそうに、店の外をうろうろしているのが印象的。ぼくの箱は半分くらい売れたかな。あとで売り上げを聞くと9千円ちょっと。ぼくは、昭和4年の『モダン流行唄』と、11年の『最新流行歌集』という唄本を買う。500円と300円かな。「外市」は、みんな楽しそうにしているのが、なにより。打上げ、2次会と流れてお開き。打上げ会場となった飲み屋の前に、駐車場となった狭い三角地帯があったが、向井くんが「ここが、ボン書店のあった場所らしいすよ」と言う。ごみが積み上げられていたが、近くまで行って、ちょっと感動しながら見つめる。
国立からタクシー、帰宅したら1時をまわっていた。
海文堂の福岡さんから電話あった由のメモ。翌朝、つまりさっき、電話して、3月31日の『読書の腕前』トークイベントの打ち合わせ。海野弘さんの時と同じ、3時から5時ときめる。海野さんのときのように、ぼくもひと箱古本を置かせてもらうことにする。関西方面の方、海文堂書店ホームページより、告知があると思いますので、ぜひ奮って御参加ください。