今夜は爪を切る。

今日はいい天気。ほとんど家の中にいる。なにもしなかったような一日だった。
中公文庫総目録の座談会、池内、川本、奥本各氏を揃えたかったのは、お3人による座談会書評『快著会読』(メディアファクトリー)1990年、という楽しい本を再現したかったからだ。
少し読み直して、その知識と教養がうまく溶け込んだ会話に感心する。クレジオ『海を見たことがなかった少年』について、川本さんがチェスタートンの「神様を訪ねていったら、実は大人じゃなくて子どもだった」という言葉を、別のところで池内さんが、グルーモン「海の発見」というエッセイで、「フランスでは海に気がついたのは本当は新しいんだということが書かれていて、それまでは恐水病の患者を崖から突き落として治すための、ただそれだけのための捨て場だった」を引用する。自由自在、という感じだ。
この本で紹介されている大江健三郎の『キルプの軍団』が読みたくなった。
夜、BS「フォークの達人」で友部正人ライブを見る。バックのついた曲もあったけど、「愛について」「はじめ僕は一人だった」など、ギター一本で弾き語りをした曲がやっぱりいい。しかし、ナビゲーターのぐっさんは、ちょっと役不足だなあ。質問があまりにありきたりだし、知識も乏しいし、かしこまりすぎて、空気が淀む。それじゃあ、なにもぐっさんがやることないわけだ。「ユリイカ」「片桐ユズル」なんて名前が出てきても、たぶんわかってないみたいだし、だいたい友部の歌だって、ちゃんと聞いているかどうかも不安だ。「世界観」という言葉をふりまわしていただけだった。いちばん好きなのが長渕剛というんじゃなあ。
今夜は爪を切る。