ひさしぶりに高円寺

日中はまだ暑いが、それでも日陰を吹く風はあきらかに涼味がある。秋なのだ。
中央公論新社から川本三郎『日本映画を歩く』中公文庫、ポプラ社から田口久美子『書店繁盛記』が届く。前者は単行本を読んでいるが、また少し読み返す。後者も読みたかった本なので、うれしい。「繁盛記」という古めかしい言葉が使われたのも、ぼくとしてはうれしい。
午近く高円寺即売会へ行く。会場で河上くんから左から声をかけられる。右横を見ると内澤さんだ。10という数字のあいだにはさまってしまった。即売会はあとで見ることにして、10円コンビと「ナジャ」で喋る。内澤さんは和本を買っていた。アメリカの古書店に売るのだという。河上くんからは、阿佐ヶ谷会の本の目次を渡される。おもしろい本になりそうだ。
二人と別れ、ふたたび即売会に参戦。昭和12年の個人のアルバムほか、六冊程買う。昭和36年「少女」付録の牧美也子『少女たち』というマンガを300円で。
都丸均一で、1972年に東芝が出した「ザ・ビートルズ フォーエヴァー」という解散記念の非売品小冊子を50円で買う。これはビートルズファンなら垂涎ものですよ。
歩いて阿佐ヶ谷へ。「風船舎」に寄り、赤見くんと少し話す。あんまりひんぱんに寄れないが、この若い店主と話すのは楽しみ。あることを告げると喜んでいた。均一含め2冊買う。1冊はポプラ社刊、子どもの伝記全集『夏目漱石』100円。漱石の生い立ちから死まで、手際よくまとめてあり、一気に読む。これぐらいの分量と早さで生涯を通読すると頭に入りやすい。大人向けの評伝だと、読んでいる途中で最初のほうは忘れてしまうのだ。ロンドン滞在中、「あじのもと」を発明した池田菊苗と会うシーンがある。ここを読んで、ああこの本は小学生のとき読んだ本だと気づく。「あじのもと」の発明、と菊苗という珍しい名前がやきついていた。『「坊っちゃん」の時代』の関川・谷口コンビで、ぜひ漱石の生涯をマンガにしてほしいと思う。
西荻では音羽館、興居島屋へ。ここでも少し買う。
夜、BSで「下妻物語」を観る。なるほどこれはおもしろいや。映像で徹底的に遊んで、それなりに急所は押さえてある。尼崎の人間は、生まれてすぐジャージをはかされ、ジャージをはいたまま死んでいく、というのには笑った。
今日やっと「つま恋」用に新幹線指定席を予約しにいくが、遅すぎ。3つぐらい候補を上げたが、ぜんぶ予約済み。この調子だと自由席も相当並びそう。だいいち掛川で止まる新幹線は少ないのだ。朝早い東京発で、静岡までは指定、というのをどうにか手に入れる。やることが遅すぎるんだよ、なにごとにおいても。