銀座「ルパン」で太宰のポーズ

昨日言い忘れたが、「ちくま」第一回は日月堂さんです。日月堂さんは、前にも一度書いたのが文庫に入っているが、ぼくのなかでは、この「女性古書店主列伝」の企画の出発、その精神のコアは日月堂さんにある。編集者の青木さんは、前にも一度書いているので、重複を危惧されたようだが、日月堂さんから入らないと、書けないような気がしていた。
その日月堂さんからハガキが届いた。すごいタイミングに驚く。日月堂カタログ第4弾のお知らせ。今回は紙目録ではなく、ウェブ版。タイトルが「机上のK.K氏」。デザイン関係の仕事をしていた(?)実在のKK氏の所蔵物を本にかぎらず、プログラム、チケット半券などまで含めて販売する。9月1日23時アップ。刮目して待て。
「ちくま」の連載は12回分、ラインナップがぜんぶ決まっているわけではないので、推薦する女性古書店主があったら、教えてください。
午前中、北條くんから依頼された「映画と映画館の記憶」についての連載エッセイ一回分をようやく書き上げる。ぼくの最初の映画の記憶は、母親に連れていかれた堂島地下の「大毎地下」での「ウエストサイド物語」。ただし、記憶しているのは一シーン。母親にあれこれ電話で確認する。急に大阪へ行きたくなってきた。
午後、銀座。サン毎グラビア取材。あの「ルパン」を訪ねる。昭和3年に開店。当初はカフェだった。作家や文化人が大勢訪れた伝説のバー。なんといっても昭和21年秋、織田作、太宰、安吾無頼派三人衆そろいぶみを、林忠彦が撮影した写真が伝説を神格化した。テーブルもスツールもあのときのまま。太宰が座った場所で、例のあのポーズをとって写真に撮ってもらう。動かせる椅子は数脚で、まちがいなく太宰が座ったものが混じっている。ぜんぶ座り、ぜんぶ手の平でなでてきた。話の中身は書けないが、おもしろい取材だなあ。明日は開高健のなじみのバーと、俵万智が一時期カウンターに入ってアルバイトをしていた(わりと最近の話しだよ)ゴールデン街のバーを訪ねる。