暑い

ひさしぶりにピーカンの暑い日、午前にひと仕事終え、サンデー毎日へ。神保町のチケットショップで「青春18きっぷ」を買う。200円だけ安いのですね。三省堂前で大屋書房の纐纈クリちゃんとばったり、言葉を交わす。今年、西日本新聞に書いた村上春樹生原稿流出事件の記事、気になっていたようで、概略を説明すると、「ああ、よかった」と言われる。そうか、それほどあの村上が書いた「文藝春秋」の原稿、古書業界に波紋を投げかけていたのか、と思う。ぼくはいつでも古書業界の味方です。御安心を。
帰り、西荻音羽館」で、『象工場のハッピーエンド』新版を100円、クセジュ文庫の『ロマン・ノワール』を400円で買う。このあと吉祥寺まで歩くのだが、ガード下をずっと行くときはいいが、そこからはずれるとまともに日射を受ける。睡眠不足もあって、倒れ込みそうになる。
それでも吉祥寺「ブ」にもちょいと顔を出す。昨夜、北村薫編の、ああこんなこと書いてる場合じゃない。これからやらねばならぬことがあるのでした。気が向いたら続きは明日に。


追加
サンデー毎日のコラム、こりゃ、明日の朝TBSなのに、徹夜かなと思っていたら一時間ぐらいで終わってしまったので、続きを書いておきます。って、たいした話じゃないんだ。北村薫編の新潮文庫のアンソロジー(いま手元にない)をぱらぱら読んでいたら、奥泉光の「滝」という中編小説が収録されていて、これが三島由紀夫ばりの緊迫した雅文で驚いてしまった。へえ、奥泉光って、こういう文章を書くのか。また、純文学の片隅で眠るこんな作品まで目を通している北村薫にも驚く。巻末の一覧を見ると、集英社文庫に、この奥泉の作品集があるらしい。で、昨日、今日と「ブ」で探した。
これがありました。ただし元本。吉祥寺「ブ」の「お」の棚を追っていくと、奥泉がたった一冊あって、それが『滝』だ。ちゃんと読んでないので、よくわからないが、現代じゃ無い感じ。戦時中あるいは戦前か。五人の十八歳が、山のなかを白装束で滝を目指し歩く。ほかの班との競争なのだ。そして最後は……。
「最初の誓約(うけい)は凶とでて、少年たちは尾根を下った。
 夏の太陽が宙天に燃える。濃紺の空に銀色の硝子片が撒き散らされて、山肌を、尾根道を、森を刺す」
というような文章。「ブ」で見かけたらぜひ。
彷書月刊」8月号は「バレエ・リュスのイマジュリィ」が特集。連載ではグレゴリ青山さん快調。
京都の弟と話す。路線変更すると言っていた木屋町のバー「ディラン・セカンド」。客からの要望が強く、まだしばらく60年代70年代のフォークロックでがんばってみる、という。そのほうがいい。がんばれ、と励ます。
あっというまに、またあれこれ切羽詰まってきた。