痰までほめるか!

阿刀田高『おとこ坂おんな坂』読了。取材のため、「ブ」で『アイデアを捜せ』『頭は帽子のためじゃない』『殺し文句の研究』を買ってきてメモを取る。阿刀田さん、阪神ファンなんだ。しめしめ、これでひと項目できる。アポ取りの時、少し言葉を交わしたが、非常にていねいな方だった。なにしろ急なことだったのだが、こっちのことを考え、取材時間は午前でもいいですよ、とおっしゃってくださる。ありがたい。
狐こと山村修さんに、質問メールを送ると、ただちに、答が返ってくる。誠実な対応に感激する。おからだの具合さえよければ、本当に一度、お目にかかってあれこれお話させていただきたい人だ。
教養セミナーの古本ネタの原稿、松川二郎『日がへりの行楽』について書く。あれこれ調べた五分の一も書けなかったな。しかし、ここで調べておくことがあとあと財産になるのだ。怠けるな!
志水辰夫『花ならアザミ』講談社文庫が、早稲田の古本屋に勤める女性店員が主人公になり、一冊の古書を巡る謎がプロットになった小説なんだが、向井くんは知っておるだろうか。
狐『水曜日は狐の書評』を読み返していたら、漱石『こころ』ワイド版岩波文庫を紹介するのに、高橋留美子めぞん一刻』から引用している。ううん。『桂米朝コレクション』ちくま文庫は、「黙読するに限る」。「声に出して読めない日本語の好例」なんて書いてる。うししし。ざまみろ、斎藤なんとかクン。ただし、ぼくはこれを「声に出して読む」んです。
森茉莉『贅沢貧乏』を朝風呂のぬるい湯のなかで読んでいたら、「第一パッパが痰を吐く音は独逸語の咽喉の音のような声で、吐く時の顔も素敵だった」と、父親森鴎外の痰を吐く姿まで褒めている。気持ち悪ぇえ。ただしそれが、森茉莉なのだ。
ケーブルでジャック・ニコルソン主演『さらば冬のカモメ』を見る。こんなのよく映画になったなあ、と思えるほど筋自体は単調。しかしおもしろい。アメリカンニューシネマの味なり。
夕食、娘と「バーミヤン」で食べて、「ブ」へ移動中、AMラジオで、オールスター2戦が流れたために、特別番組でオールスター戦の歴史をやってる。1971年江夏の9連続三振の実況を、そのまま録音で流していた。これはブルブル震える程感動。実況は植草貞夫アナ。その臨場感に圧倒される。ひさしぶりにいいものを聴いた。