くわあああ、っと驚いた

終日家にいる。「小説すばる」の「ミニコミ特集」の原稿を忘れていた。あわてて、「彷書月刊」「いろは」「なごやに暮らす」三冊の大絶賛を書く。
阿刀田高『おとこ坂おんな坂』(毎日新聞社)が届き、メモを取りながら読む。日本全国各地を舞台にした、男と女の物語。12編の短編集。しかし、うまいもんだなあ、と感心しながら読む。仕掛けも仕込みも十分。当然ながら手だれのプロの技なり。
山村修『〈狐〉が選んだ入門書』ちくま新書、についてコラムを書くため、筑摩書房の担当者に連絡して山村さんの連絡先を教えてもらう。結論から言えば、お目にかかって取材はかなわない。あとがきにもあるが「身体的な事情があって」私大図書館司書を早期退職された。その「身体的な事情」だ。メールでなら、質問にお答えすると、夫人を通じて承諾を得た。
取材の準備で『水曜日は狐の書評』ちくま文庫も再読したが、わずか800字でこれだけのレベルの書評を書かれたら、しかも、媒体は「日刊ゲンダイ」で、と来たら、もうぼくなど白旗を挙げるしかない。ワイド版岩波文庫漱石の『こころ』を紹介するのに、『めぞん一刻』から引用するんだものな。
夜、地上波で「ハウルの動く城」を見ました。なんじゃ、それ、という内容なり。おっさんには、もう無理かな、宮崎アニメは。心も身体も汚れているしな。
プチグラパブリッシング高野麻結子さんから、『ぼくのしょうらいのゆめ』という新刊が届く。市川準内田裕也大竹伸朗高橋悠治谷川俊太郎和田誠など、各界の大物に、子供時代に描いた夢についてインタビューしてまとめた本。大竹伸朗の小学5年の作文、谷川俊太郎の小学2年の工作の授業で作った馬の置き物など、みんな、小さいころの軌跡をブツで残しているのに驚く。祖父江さんの、本棚一本まるごと漱石の「坊っちゃん」バリエーションにも驚いた。くわあああ、っと驚いた。