シェイクスピアのソネット

17日、神保町「ぶらじる」で、「赤旗」記者から取材を受ける。毎朝、各紙に載る「ひと」欄のようなコーナーらしい。50分ほど、あれこれ質問に答え、ブカキンの前で、写真を撮られる。サンデー毎日に移動。帰りに「ささま」といつものコース。
18日、朝、TBS。嵐山光三郎『悪党芭蕉』新潮社を紹介。昨日に続いて雨。帰宅後、昼食取りついでに、ちょっと一ツ橋「ブ」へ。立川志らく『シネマ徒然草キネマ旬報社岩波文庫シェイクスピアソネット集』、それにロバート・B・パーカー『ダブル・デュースの対決』ハヤカワ文庫などを買う。シェイクスピアの「ソネット」は、吉田健一の名訳があり、それはうっとりするほどの韻律だが、岩波文庫版は高松雄一訳。ちょっと比べてみよう、と思って買った。これは高松訳。
 きみは青春の日々にひそむ待ち伏せを切りぬけてきた
 襲われずにすんだことも、襲われて勝ったこともある
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 私はそれを怖れるゆえ、まだ生まれぬ時代に告げておく
 おまえが生まれるまえに美の夏はおわったのだ、と
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『ダブル・デュース』は、教育誌の名言に『初秋』から引用するため、ほんとうにひさしぶりに、スペンサー・シリーズを読み返したら、やっぱりよかったので買った。『海馬を馴らす』ぐらいまでは、ずっとシリーズを追いかけて読んでいたのだ。主人公のスペンサーは、しょっちゅうシェイクスピアを引用する探偵なのだ。
坂崎重盛さんから電話があった。書評を書いてくださったお礼に出したハガキのお礼にかけてくださった。律儀だなあ。坂崎さんと話すと、その気くばりなど、いつも「大人だなあ」と感心する。こっちは中学生ぐらいになった気分になる。
雨の中、今日もしきりにカッコウが鳴く。一時、無くなったスーパーボールが見つかって、猫がまた、階段をボールを落としていく遊びをしている。そのゴン、コロコロ、という音が、ぼく以外誰もいない家に響いている。
今日、中央公論の原稿をようやく入稿し、一つの山を越えた。
北村薫『街の灯』をすっかり堪能して読み終えたのだが、上流家庭の子女である主人公・英子が、神宮球場の隣りにある学校へ通っているという記述があり、話の上から学習院であることはわかるのだが、千駄ヶ谷にそんなのあったっけと、ちょうど『東京の戦前 昔恋しい散歩地図』に、昭和6年(小説の時代は昭和7年)の神宮付近の地図があったので、見てみると、ありましたねえ。いま秩父宮ラグビー場になっているところが、戦前は女子学習院の校舎があった場所なのだ。ちなみに、神宮第二球場の場所は、かつて「相撲場」になっていた。今朝、TBSの帰りに車でこの付近(いちょう通り)を通ったばかり。雨に濡れた外苑はほんとうに美しい。東京のなかでも美しい景観の一つだろう。