今夜、コクテイルで中川五郎さんと

朝、カッコウがしきりに鳴く。まるで高原で迎えた朝のようだ。
このところ、夜に何かをする気がまったく起きず、飲んだくれているような毎日だ。それで朝、8時には目がさめる。雨が降り出し、道路の向う側に置き忘れた傘を取りにいき、そのあいだに仲間とはぐれ、歩き出したが、どうもみんなとは逆の方向に歩いていることに途中で気づく、そんな夢を見た。
昨日は何があったか。夕方まで少し仕事をして、あ、そうか、大阪の「ミーツ」の神保町案内、の原稿を書いたんだ。坂崎さんから、坂崎さんが書いてくれた『気まぐれ』書評が掲載された公明新聞が届き、そのお礼のハガキを書いたのも昨日だ。ずっと雨だった。そうか、それで雨の夢を見たんだ。
神保町でばったり会った読者の方が大阪転勤となり、その保健会社の営業所で講演を、という依頼があり、こういうことは重なるのか。しかし、その読者は関心があっても、ふつう一般の人はぼくのことなど知らず、もちろん一般性のある話だってできるが、ちょっと躊躇する。
あれこれ、小さいことから大きいこと、気にかかること、やらねばならぬことがどんどん堆積していって、もうどこから手をつけていいか、ほとんどお手上げ状態だ。
夕食後、娘を連れて、車で「ブ」散歩。小田実『何でも見てやろう』が必要となり、少なくとも単行本と文庫、2冊は持ってるはずだが、見つからない。買ったほうが早い、というので探索へ。しかし、なかった。娘にマンガを買ってやり、イトーヨーカドーのスナックコーナーで休憩。アイスをなめながら娘が、マンガの裏表紙についた値段のシールを爪ではがし、跡についた糊を、シールの裏を使ってペタペタと取っている作業を見て、可笑しくなる。これはいつもぼくがやっていること。無意識にそれを真似ているのだろう。しかし、そんな小学生はいない。
北村薫『街の灯』文春文庫、はいいですよ。昭和7年東京、上流家庭にやってきた美貌・才気の女性運転手と、令嬢の英子のコンビが謎をとくミステリ。12日、早稲田松竹へ行くのにカバンに入れていって、地下鉄で読み始めたのだが、最初の一編「虚栄の市」の舞台が、早稲田、鶴巻町あたり。
「鈴蘭灯の前で、小僧さんが菰をかけた荷物を荒縄で縛っている。法被を着た主人が、それに何か声をかけていた。/『賑やかな通りね』/『鶴巻町と申します。大学のすぐ側でございます』」
東京に住む利点は、読んでいる本に出て来る場所が、まさに目の前にあることだ。
本日、古本酒場「コクテイル」で中川五郎さんとトークショーをやります。7時30分開演。まだ席に余裕があるようなので、お時間あったらおいでください。中川五郎さんは寝屋川高校の出身。僕と学区は同じ。実家が香里だったようで、そんな話を。それから音楽、文学の話もお聞きしたいと思っています。
ノブくんは来てくれるだろうか。