下北沢で『ささきふさ作品集』を

緊急告知
ノブくん、読んでるかな。コクテイルのライブ、14日は間違いないが、日曜日でした。しまったなあ。

11日。なんだかはっきりしない天気が続くなあ。いちおう、折り畳みの傘を持って外出。
2時から渋谷で、日経新聞の記者二人と打ち合わせ。一年間、毎月、本のコラムを書くことに。
これから「植物と話をする男」銅金(どうがね)さんの取材をするので、渋谷古書センターの均一で、「観葉植物」という本を300円で買う。一夜漬けもいいところ。
モアイ像前で、新雑誌の編集者とカメラマンと待ち合わせ、タクシーで三宿へ。世田谷の廃校となった中学校の教室をクリエイティブな仕事をする若者たちに貸し出した「ものづくり学校」の中で、銅金さんがインスタレーションの展示を行っている。そこで取材。銅金さんは神戸の人で、大学でも教えているのだが、古本好きということで意気投合、関西弁でベラベラ喋りあう。この「ものづくり学校」もおもしろかったなあ。建築家集団のオフィスや、映画配給会社、ものづくりをしている人などが、中学校の空き教室をそのまま事務所と仕事部屋として使っている。もと給食室はパン屋、保健室がカフェとなっている。じつに斬新な発想。さすが世田谷区だ。
取材を終え、せっかく三宿近くまで来たのだから、「江口書店」「三陽書店」を覗き、三軒茶屋から茶沢通りをどんどん下北沢まで歩く。道は一本なので迷いようがないのがいい。けっこう歩くけど、途中、いろんな店があるので飽きない。「サムタイム」という中古レコード、骨董と一緒に古本を置く店があったり、カフェバーふうの焼鳥屋があったり。ぼくは、夕方ラッシュ時の渋谷、新宿と乗換えをする気分になれないので、そういう人には、このコースはおすすめ。
下北沢南口商店街「幻游社」は、素通りできない店で、ちょっと立寄り、いったいこの店にいつからあるのか、函も日焼けし、背革が痛んだ『ささきふさ作品集』中央公論社昭和31年を500円で買う。状態が良ければ、十倍はするだろう。本体の表紙が4ミリはある厚いピンクの板で、恐ろしく堅い。これで人だって殺せそう。ぱらぱらとめくると、「圓タク」「カフェ」なんて単語が飛び込んでくる。ささきふさは、死後半世紀以上経過した現在、文藝春秋・佐々木茂索の夫人という認識だろうが、大正から昭和初期に活躍した女流作家で、例の新興芸術派叢書に『豹の部屋』が収まっている。いまではなかなか読めない作家だ。
この『ささきふさ作品集』を抱えて、駅前「ドトール」で休憩。店内は混んでいて、外のテラスへ出る。ここが小田急線と隣接していて、ホームのアナウンス、入ってくる電車が壁一枚通して体感できる。頭上には井の頭線鉄っちゃんには、たまらないシチュエーションだろう。
帰宅してから、『ささきふさ作品集』の日焼けした函に、西荻にわとり文庫」で買った、古い資生堂の包装紙をくるんで自装本にする。へえ、岡崎さん、けっこうマメなんだ。いちおうな。