樽見博さん『古本通』は一家に一冊必携

昨日、TBS終えて帰宅。「アイ・フィール」最終号が届く。「私を呼んでやまない書店」アンケートで、長野まゆみ祖父江慎吉田豪森達也各氏が「古本屋」「古書店」という言葉を文章中に使っているのが目をひいた。届いたばかりの、樽見博さん『古本通』平凡社新書は、そんな古本、古本屋について、基本事項をコンパクトに網羅した、ありそうでなかった、一家に一冊必携という本だ。よく激務のあいだに、これだけまとまった仕事をされたもんだなあ、と怠けてばかりいるぼくとしては励みとなる本だ。しかも、こんなことは岡崎さん、知らないでしょう、というような情報もいっぱいあって、じつは、ぼくなんかにはめちゃくちゃ勉強になる本でもある。
そのほか、小池昌代さんの新詩集、岩田和彦さんから「gui」、池内恵さんの書評集『書物の運命』文藝春秋などが届く。池内さんは、もちろん池内紀さんの息子さん。「いつも本だけがあった」を読むと、池内家では、テレビを置かない主義だったようだ。恵さんは、だから学校へ行って「『いいとも』見た?」という会話が外国語のように聞こえたという。ちゃんとテレビを見たのが22歳。それまで池内家の蔵書や、送られて来る文芸誌や雑誌をずっと読んでいた。すげえ!
今晩は、サンデー毎日のIさんと、四月から読書欄に執筆している角田光代さんとの顔合わせ会にぼくが呼ばれ、四谷三丁目へ。丸の内線乗り換えなので、荻窪下車「ささま」コース。岡井隆『犀の独言』砂子屋書房野口武彦『作家の方法』筑摩書房を105円で。店内文庫売場で、ずっと探していた桂米朝米朝ばなし』講談社文庫を発見。315円、あわてて買う。単行本は持っているのだが、文庫は品切れで、むしろ文庫のほうがいま見つけにくい。定価以上ついているのは見たことあるが。
中央線、丸の内線と角田さんの『真昼の花』新潮文庫を読む。タイで貧乏旅行をしていたころの体験を生かした小説。うまいなあ、と思いながら引き込まれて読む。
角田さんと会うのはひさしぶり。Iさんと話していて、旅行の話になり、「どんなところがお好き?」とIさんが聞き、「タイなんか」というところで、『真昼の花』をバッグから出して見せると、「ドラえもんのポケットみたいになんでも出てきますねえ」と感心される。
あれこれたまった仕事を、今日は集中してやることにする。