10円コンビ来宅!

朝、7時に目が覚める。今日が49回目の誕生日なり。ここまで来ると、さして歳を取ることに感慨はない。同級生だった友人の多くは今年50代に突入していく。50になると、年齢欄を書き込むときに、ちょっと何かあるかな。映画や旅行など、50歳になると特典もある。
26日夜は娘を連れて、三鷹上々堂」へ。精算と補充。家内が置いている手づくり文庫カバーが、今月のぼくの売り上げに肉薄している。やばい。昼には立川栄、ついさっき連雀通りの「ブ」へ行ったのに、帰りの車内で、娘が「ブックオフへ連れていけ」という意味を短縮して、「ブ、ブ、ブ、ブ!」と連呼している。無視。
27日昨日は、「彷書月刊」特集のため、河上・内澤夫妻が取材に拙宅まで来てくれる。お二人が多忙なことはブログ等でわかっているので、心苦しいが、今回の特集の目玉だと思っているので、無理にお願いした。内澤さんがメジャーで本棚や壁、家具のサイズを計測し始めたので驚く。そうか、あの緻密な絵は、こういう細かな手作業の積み重ねで生まれるのかと、興味深く見る。
河上くんとは、もう手の内知り合った仲なので、落ちついて話せる。これまで記録し続けてきた、古本購入帳に興味を示されたみたいで、そうか、そういうところに目が行くのかと思う。
今日はいちにち、「特集」のために、高円寺時代の日記を整理して、原稿に起こしたり、年譜を書いたりする。年譜にはひどく手間取り、お手上げ。林さんにSOSを出し、かつて林さんが作ってくれた「スムース」年譜をメールで送ってもらう。これが自分のことを知るのに一番確かな情報だ。
高円寺「テル」のおばあちゃんが死に、今夜はお通夜だが、身体も心もアクションが起こせない。ただソファにぐったり坐り、冥福を祈る。昨年末で店を閉めたとき、フィナーレに参加して、お別れは済んでいるという気持ちだ。
夜、1935年新東宝阿部豊監督「細雪」を観る。花井蘭子、轟夕起子、山根寿子、高峰秀子が姉妹を演じる。幸子をやった轟夕起子が思いのほか良かった。関西弁も正確で、おっとりした明るさを出して雰囲気もいい。市川崑細雪」の京の花見が美しい映像で強烈な印象に残っているが、阿部編はそこをカットし、高峰演じる妙子のドラマを中心に描く。いま、田中純一郎『日本映画発達史』で確認したが、これは、公開当時「制作費三千八百万円の新東宝野心作。興行的にもヒット作となる」とある。ただし、出演者に上原謙の名があるが間違いだろう。貞之助役かと思われるが、実際は河津清三郎
細雪」はこのほかに、大映の島耕二が59年に撮ったのがある。脚本は新東宝版と同じく八住利雄京マチ子轟夕起子山本富士子、叶順子。叶順子がいやに色っぽく、山本富士子の雪子は絶頂をきわめた美しさだった。これももう一度、観てみたい。
細雪」をビデオで観ていると、叔母から電話。今夜、京都で一族が集まって会食しているのだ。叔母は酔っぱらっていて、来なかったことをなじられる。じつはうちの母親は四姉妹。そのうち次女、三女が他界し、残ったのは長女のうちの母親とこの四女の叔母、つまり「細雪」なら鶴子と妙子である。(えらい違いやなあ)という言葉は飲み込んで、いちおう岡崎版「細雪」としておく。