鷺はアホだんな

昨夜、あれこれやらねばならんのに、『気まぐれ古書店紀行』を通読してしまう。昨日、装丁をしてくれた澄子さんも書いてくれていたが、ゲラでは、チェックと書き込みのために読んでいるが、心置きなく通読するのは初めて。なかなかおもしろかった。書き込みは、やり直しのとき、ボールペンで書いたところが、ちょっと字体も違うし、かすれたり、雑に見える。まあ、しかたない。
今日は、昼、産経新聞の猪谷さんからインタビューを受ける。「私の修行時代」というコーナー。過去の恥ずかしい話をいろいろする。猪谷さん、ニコニコと大きな目でにこやかに聞いてくれるので、つい熱が入りる。一時間ほど話すと、声が出なくなってくる。このところ、いつもそうだ。先日の小学校での講演もそうだった。途中から、舌がもつれ、声がかすれてくる。目をつぶり、絞り出すように喋る。
このあとサンデー毎日で仕事。夕方、京橋へ移動し、少し八重洲ブックセンターで時間をつぶし、中央公論新社へ。同社の120周年記念の一環として、中公文庫の解説総目録を出すという。その相談を受ける。帰り、東京駅まで歩く。中央線始発を待ち、乗り込むが席に座れず。一本待ってようやく席を確保。しかし、お茶の水から乗ってきた酔っぱらいのじいさん、ぼくの前に立ち、臭い息を吐きかけ「若いもんが座って、年寄り立たせて、どういうつもりや」と因縁をふっかけてくる。(だれが若いもんじゃ、もうすぐ49や。それに疲れとんねん)と無視していると、そのあともブツブツ、ずっとぼくをめがけて愚痴を言う。こうなったら意地でも替わってやらんぞ、と目を見開き、顔を見上げたら、なんだか可笑しくなってきて、ニヤニヤ笑ってしまう。それが気味悪かったのか、新宿でほかへ移っていった。
国立下車。ディスクユニオンアン・サリー『ヴォヤージュ』を買う。これだけ持ってなかったんよな。帰宅すると数件のゲラ。それにファクス。原稿締めきり、それにやっかいな直しの話。今夜は眠れそうにない。
筑摩より、ちくま文庫桂枝雀爆笑コレクション3』が届く。「宿替え」「青菜」「高津の富」「池田の猪買い」「崇徳院」「饅頭こわい」「鷺とり」など、枝雀十八番の爆笑落語が収まる。
とくに「鷺とり」で
「鷺はアホだんな」
「お前のほうがアホじゃ」
というところが好きなのです。
産経の猪谷さんから「文庫占い」というサイトを教わって、挑戦してみた。名前、生年月日、血液型を入力すると、自分に似合った文庫が出てくる。以下、解答。

 岡崎武志さんは角川文庫 です!
● 角川文庫さんのあなたは、気さくで明るく、いるだけで周りを楽しくさせる人です。男性なら、グループの中心となって盛り上げるタイプ。女性なら、いわゆる「学園のアイドル」的存在となるでしょう。また、自分が決めた目標に向かってまっしぐらに突き進み、障害もものともせずに乗り越えていく意志の強さも持っています。その粘り強さには定評があり、誰もがあなたに一目置くことでしょう。何事も中途半端を嫌い、遊びや趣味でも徹底して究めないと気が済みません。その熱中ぶりから「おたく」的な目で見られることもありますが、初めて挑戦するものでも、じっくりとその技を身につけていくので、最終的にはプロ顔負けの腕前になって周りを驚かせます。
岡崎武志さんの本当のお母さんは、現在、下関の漁港あたりをさまよい歩きながら、あなたの名前を叫んでいます。
「意志が強い」というところは逆だし、熱中ぶりから「おたく」というところは当たってそうだし、どうなんだろう。ぼくの本当の母親が「下関の漁港あたりをさまよい歩き」というのは笑った。