『気まぐれ』見本できました

今朝、起きたら雪が積もっていた。このあいだ降ったときほどではない。昨夜から降り始めて、眠っているあいだに積もったのだ。あ、そうだ。自転車を駅前の駐輪所にとめっぱなしで、昨夜はタクシーで帰宅したのだ。自転車を取りに行かねば。しかし、この路面はちょっとイヤだな。
昨日は、吉祥寺で、4時にルノアール工作舎の石原さんから、『気まぐれ古書店紀行』の見本を受け取った。その前に「ブ」で何冊か買ったが、その話はいいだろう。今度の本は、束見本や、カバー色校は見ていたが、できあがった現物を手に取る気分はまったく違う。格別なものだ。これだけは、自分の本を持った人にしかわからない。ああ、もうこれでいつ死んでもいいや、と思うのだ。総ページが400を超えるのはぼくとしては初めて。その厚みを確かめる。石原さんとあれこれ今後を打ち合わせして、このあと同じ場所でハナコの取材を受けるので、石原さんが帰ったあとも、しばらく自分の本に見入っていた。こんどの本は、著者が自筆で書き込みをしているのが、売り、なんだが、その書き込みを点検していると、あちゃあ、いきなり間違いが。京都のところで、中井、水明堂の地図を描いているのだが、その位置が道路の反対側になっている。なぜだろう。あれだけ何度も足を運んで、地図も何度も描いた店なのに。しまったなあ。
このあとハナコの吉祥寺特集で、吉祥寺の古書店、専門書店の話をする。ライターの女性が15分も遅れてきたが、同じライター仲間だから、怒ったりしない。吉祥寺の特徴を話し「トムズボックス」を推薦する。
その「トムズボックス」の土井さんと、今夜は吉祥寺「いせや」で、長新太の絵本三冊の授与式を執り行う。といっても、べらぼうな値段で買い取ってもらったのだが。「いせや」の2階に上がるのは初めて。上海の魔窟のように、あちこち入り組んでテーブルや、畳席がある。最初、片岸さんと二人、いちばん奥の部屋でみんなを待つが、なかなか来ない。みんな、とはほかに、明治大学セミナーの生徒だったクボタくん、それにおなじみ西秋くん。
けっきょく、土井さんは別の三畳の小部屋を予約していて、待っていてくれたのだった。集まったみんなに、さっそく『気まぐれ』見本を披露する。評判よし。これは石原さんと装丁の澄ちゃんのお陰。このあと土井さんから、絵本業界にまつわるホットな話をあれこれ聞く。和田誠長新太宇野亜喜良などが登場。土井さんは絵本、児童書のコレクターなのだが、ぼくが先日買った小松左京和田誠イラストの『空中都市008』を、やはり最近入手したそうだ。ぼくは1500円で買ったが、土井さんは3500出して買ったそうだ。「勝った」と勝ち誇ったが、安く勝ったほうが勝ち、というのはぼくの価値判断。
宴たけなわのころ、長新太絵本を土井さんに授与する。土井さん、ほんとうにうれしそうで、女性を抱き締めるように抱える。早く、これをガラスの入った特別な本棚に収めたい、という。その本棚は誰にも見せないらしい。こういう人の手にわたったほうが、絵本も喜ぶに決まっている。ぼくもうれしい。それに、あとで明かしたが、この日、土井さんの誕生日だったそうだ。そういうメモリアルな日に、絵本を手渡せたことも奇遇だと思う。