スガヤさん、東京はおそろしかとこですバイ

昨日、つまり21日は、午前中に「カラフル」の小池昌代インタビュー原稿を書き上げ送稿。これで、あと残るは彷書月刊と、今日やっつける大物原稿だけだ。ゴールがようやく見えてきた。
午後、神保町へ。珍しく悠久堂店頭で宮沢賢治・川原真由美画のかわいらしい『あたまの底のさびしい歌』港の人を300円で買う。奥付見たら、出たばっかしの本。賢治の書簡11通を、カットを交え、詩のように組んだ本。書簡だが、ほとんど作品、といっていい。
「私は春から生物のからだを食うのをやめました」
と一行で組んであるのにドキッとする。これは保坂嘉内宛てのもの。保坂宛ての書簡が多いのだが、ほとんどラブレターのようにも読める。たしか、賢治と、精神的にそういう関係になった友人ではなかったか。これは拾い物だった。
タテキンで渋沢龍彦訳『o嬢の物語』角川文庫を、コミガレで詩集6冊で1000円、絵葉書2組で200円で買う。詩集がどっさり出ていた。しかもいいところ。重いのでどっさりは買えない。見過ごしたものもあるが、ちょっと壮観。例えばぼくは、長谷川龍生『直感の抱擁』、石原吉郎『水準原点』、渋沢孝輔『薔薇・悲歌』、清水昶『朝の道』、清水昶詩人論『夜の詩人たち』、それに天澤退二郎の青土社版全詩集を買う。これだけ買って1000円だからね。むむむ、のむだ。
ほかにも富岡多恵子の全詩集など、ごろごろ転がっていた。スガヤさん、東京はおそろしかとこですバイ。
このあとサンデー毎日の今年ラストの書評を書き、ささまへ移動。ところがこの日は何も買えず。「ブ」へ移動し、『優しすぎて、怖い』のJ・フィールディング『秘密なら、言わないで』文春文庫を買う。
赤坂見附まで丸の内線で、一つ木通りのイタリアンで、TBSの忘年会あり。斜め前にお天気の森田さんが座る。他局の天気予報の堕落(芸能化)をひどく怒ってらした。天気予報の第一人者としてはそうだろう。
会場が現金2万円3本争奪じゃんけん大会で盛り上がっているところで、もらったタクシーチケットで高円寺へ移動。「テル」ファイナル月間で、赤穂からHさんが上京してきていた。ぼくが呼んだのだが。そもそもHさんがぼくを「テル」へ連れていった。そのぼくがカメラマンのSくんを連れていき、そのSくんが、と続く連鎖の元締め。「戦国の系図で言えば、Hさん、織田信長みたいなもんですよ」と笑う。「テル」ばあちゃんもニコニコ始終ごきげんだった。ぼくらが帰り際、写真評論の飯沢耕太郎さん御一行も見えた。飯沢さんもかつて、この店によく来たのだった。
国立まで戻ると、またもやタクシーは長蛇。もうとっくにあきらめている。ムヒョヒョーーと雄叫びを上げながら、自転車で帰宅したら、とっくに日付けは変わっていた。
あ、そうだ。筑摩から大川渉『文士風狂録』、『桂枝雀爆笑コレクション1』が届く。また、文藝春秋特別版「司馬遼太郎特集」に、ぼくが東西古本屋が見た司馬遼太郎像を書いてます。