今日は長いぞ

昨夜、あれからサンデー毎日書評を書く。書評欄リニューアルで字数が少し減る。1000字弱が700強に。この違いは大きい。遊びの部分がどうしてもなくなる。窮屈な感じ。しかし、慣れるしかない。
今朝は、午前中に「エル」の2005年ベスト5の原稿を送る。ハルミンさん、ナリコさん、月の輪さん、ナンダロウさん、それに橋爪節也さん『モダン道頓堀探検』を選ぶ。ほとんど身内のようだが、ひいきを超えて、今年この人たちがめざましい仕事をした、ということだ。そう考えている。
午後、外苑前まで。新風舎社屋を訪ねる。社長の松崎くんと面会。20年ぶりくらいの再会になる。前も書いたが、荒川さんが開いていた池袋西武での詩の教室に遊びに行って、そこで、まだ学生だった松崎くんと会った。そのとき彼はすでに新風舎を作っていて、同人誌ほか、出版をすでに手掛けていた。そこで、「岡崎さん、本を出しませんか」と言ってくれたのだ。ぼくは当時、「鳩よ!」で詩のマンガを書いていた。それをまとめよう、という話だったと思う。ぼくは、そのとき、本を出すなんて、とても遠いことだと思っていたので、あわてて辞退した。しかし、最初に「本を出しませんか」と声をかけてくれた人物として、松崎くんのことはずっと意識していた。
その後、御承知のとおり、松崎くんは「共同出版」というかたちで、約8000册の本を世に送ってきた。熱風書店という、新風舎の本を販売する書店を案内され、レストランで昼食をとりながら、あれこれ話す。
「ぼくは自費出版という言葉が嫌いなんですよ」と松崎くんはいう。あたらしいかたちの出版を模索している若い出版人としての気概を感じる。谷川俊太郎さんといっしょにカラオケに行った、などという話もおもしろかった。なんらかの手助けができれば、と思う。
秋の風を受けながら、新風舎を出て、ふたたび地下鉄。古書会館の「和洋会」へ。小野賢一郎『世界のぞ記』正報社、大正8年の大阪毎日記者の世界旅行記。箱入りのかわいい本で300円。落合義雄『ぐんま演劇 回り舞台』は前橋在住の郷土演劇人の回想録。ひょっとして今井正『ここに泉あり』の記述はないか、と探したら、やはりあった。買っておこう。300円。里見とん『愛と智』は裸本ながら、小磯良平の表紙絵が素晴らしい。500円。文庫サイズの小冊子「春のアートクラブ」は、京都三条蹴上の「ミヤコホテル」内に設けられた、踊りと演劇の会「アートクラブ」の会報誌と見た。大正期のものではないか。京都のお店の広告がたくさん入っていて、そこを買った。
なお、小野賢一郎は焼きもの関係の本を多く出している趣味人で、東京日々新聞社時代、梅谷松太郎記者に食べ物の連載記事を書かせている。これが本にまとまって、『味覚極楽』となる。すなわち梅谷くん、とは下母澤寛なり。中公文庫解説にその旨、記述あり。
古書会館では、西秋くんと少し話す。一度、精算を済ませて会場を出たら、ガラスケース前でぶらじるマスターの竹内くんがしゃがんでケースを覗いている。「なにを見てるんや?」といっしょに覗くと、雑誌掲載の肉筆カットが出品されている。すぐに徳川夢声らしいカットを発見。誰が書いたかわからないが、大小ペン画で5点。どれもいい。雑誌「東宝」の「毎句露二十年」のカット。サインがUSHIとある。これが2000円。いいなあ、と声が出る。すると、ちょうど出品者の自然閣さんがいて、「これは日劇解体のときに出た一連のものだよ」と説明してくださる。ぼくが「これ、いいですねえ」と夢声カットを手に見せると、「いいよう、いくらだい?」「2000円です」「そりゃ、安い!(って、出品者なんだけど)」。
で、買いました。
コミガレでは谷川俊太郎詩集『うつむく青年』ほか3冊と、岩波写真文庫『一年生』『戦争と平和』を100円で買う。前者、子供が学校でケンカを始める一部始終を組写真で掲載。ここがすごい、の。で、家に帰って、昨日もらった『編集会議』最新号を見ると、「雑誌の歴史学」というページで、桑原涼さんが「岩波写真文庫」と名取洋之助について書いている。なんちゅう、グッドタイミング。思わず見入る。
国立まで戻り、ディスクユニオンで、1000円ぐらいのジャズのCD、ジャケ買いで2枚、それに、マル・ウォルドロンケニー・バレルほかの『オールナイト・ロング』を買う。原田知世トーレ・ヨハンソン(でいいのかな)と組んだ「ブルー・オレンジ」ちゅうのも買ってしまった。ジャヶ買いならずヤケ買いなり。
そいでもって、本屋で『おとなの青春18きっぷの旅 冬季編』学研、も買ったのでありました。