三島自刃事件、二つの反応

明大セミナー最終日。ほるぷ復刻版のススメを説き、古書会館へ移動。趣味展で生徒さんたちに本を買ってもらい、教室へ戻り、発表会をする。同じ会場で買ったのに、それぞれ目が違うと、買うものもさまざまなのがおもしろい。ぼくをうならせたお二人に、最後色紙を贈呈する。終って、明大の学食で食事会。みなさんとサヨナラをして、再び古書会館。さっき買ったのは、家へ送ったので、いま分かるのは二度目に買った本。正木不如丘作品集『医学部教室展望』富士見出版、500円。藤島茂『遠い汽笛』文藝春秋、200円。古谷綱正『新聞作法』カッパブックス100円。会場で一年ぶりくらいに、元ダイヤモンド編集者のNさんと会う。ぶらじるへ移動し、近況報告。Nさん、今年4カ月、中国の大学に留学していたのだ。話を聞きながら、まぶたが重くなるのに困る。頭に霞がかかったよう。
Nさんと別れコミガレで、吉行淳之介『面白半分対談』、飯沢匡対談集『遠近問答』朝日新聞社川崎長太郎『忍び草』中央公論社を買う。
あ、そうだ、「ちくま」の12月号が「ちくま文庫創刊20周年」記念号で、ぼくが文章2ページ、イラスト2ページ書いていいる。ほかに角田光代近代ナリコ唐沢俊一苅谷剛彦、上野健爾諸氏が文章を寄せている。これは、どこかでぜったい確保しておいてください。「インビテーション」「大人のウォーカー」にもそれぞれ書評を書いてます。
三島の市谷事件から35年。あの日のことを書いた文章に、偶然続けて出会う。ひとつは『ふるほん福岡』の沼正三。『家畜人ヤプー』愛蔵版を手渡そうと、三島邸を訪れたが、あいにく留守。その帰途のタクシーのなかで臨時ニュースを聞く。京都で途中下車した沼は、中島貞夫監督と落ち合い、新京極で飲むが、そこで号泣する。『家畜人ヤプー』は三島の激賞によって世に出た本だった。
もうひとつは「彷書月刊」12月号。連載の成瀬正祐さんの文章。父・正俊が三島と交流があった。三島自決の報を聞いた正俊は、沼とはまったく逆の、おどろくべき反応を示した。これは、ぜひ今月号をお読みください。
19作「寅さんと殿様」は、少しシリーズに疲れが見えてきた。つまりもうそろそろ寅さんとマドンナの恋に無理が出て来ている。その部分が弱いと、鉄筋を減らして建てたマンションのようになる。ただし、アラカン三木のり平は最高。真野響子さんは可憐だが、寅さんの恋の相手としては弱いなあ。女優の格として、というんじゃないよ。真野さんとは、アミューズの神保町取材で半日御一緒したことがある。そりゃ、きれいでした。