へえハイネってそうだったんだ

インビテーション、高橋徹月の輪書林それから』晶文社の書評を送る。ジェイ・ノベル小説時評のため、ヒキタクニオ『角』光文社などを読む。これは、文芸出版の校閲部勤務の女性が主人公。ある日、気がついたら頭に角(つの)が生えていたというコミカルなタッチの小説。しかしなんといってもおもしろいのは、ほとんど小説の題材にならなかった、「校閲」の世界がくわしく描かれていることだ。校正、校閲の仕事をしている人は必読でしょう。なあ藤田。
ベッドに入り寝る前になって咳が止らず、なかなか寝つけない。声もまだ鼻声。夕方、崩れるようにまた寝てしまう。身体の調子が悪くなって、初めて、やっかいな身体という融通のきかないものをぶらさげて生きていることに気づく。
工作舎から初校ゲラが届く。『角』を読んでいるところだから、校正するのがちょっと変な感じ。夕食後、家族で小金井、東大和と「ブ」散歩。13冊を買う。うっかりいろいろ書くと、また誰かに叱られるから、ぜんぶは書きません。安野光雅画集『中国の運河』朝日新聞社が500円はいい買物。
夏目美知子詩集『朗読の日』の背表紙に目が止り、おや、っと思ってカバーを見ると、あ、ミカン! つまり林さん家のお犬様だ。林さんの装幀本なり、買う。
池内紀の仕事場『〈ユダヤ人〉という存在』を読んでいたら、ハイネについての意外な記述あり。えっ、ハイネってそういう人だったの。ハイネというと、胸くそ悪くなる歌「四季の歌」の一節や、本を読むそばからページをちぎって小川に流した(桑原武夫がそう書いてた)なんてエピソードで、なんとなくげえっ、と思ってたが、ちがうんだ。池内さんのテーマ別の著作集なのだが、これいい本だな。