牧野信一『西部劇通信』

午後から雨。あと終日、降る。夕方、家族でスーパーへ買物に出た以外は家にいる。
昨夜、文鳥舎で鬼涙村の朗読を聞く。正直言って、途中、何度か疲れのため眠ってしまった。切れ切れに牧野の言葉が入ってくる。今日、牧野の作品を数編再読する。池内紀さんが会場に持参した『西部劇通信』は裸本だったが、いい本。ネット検索すると、春陽堂から昭和5年に出た本。裸本でも9000円から15000円、函入りなら26000円から35000円。玉英堂は本体極美、愛読者カードつきを10万円つけている。とても買えないが、これ、見たいなあ。『西部劇通信』
最近の牧野評価で言えば、1990年に岩波文庫、福武文庫が牧野を一冊本で出している。同年に沖積舎が『鬼涙村』を復刻。筑摩が6巻本の全集を刊行し始めたのが1993年。しかし、再評価の大きな機運にはならなかったようだ。「ユリイカ」は牧野の単独特集を組んでいない……よね? そう考えたとき、1970年に、中央公論社「日本の文学」で、三島由紀夫が『百間・足穂・牧野』で編集した、この三島の眼力がすごい。三者とも、まだ今ほど評価されていなかったはず。旺文社文庫が『鬼涙村』を出したのが1964年。旺文社文庫もすごいや。
筑摩の全集は無理でも、1975年に増補版(最初は1962)を出した人文書院の3巻全集は欲しくなってきた。62年版ならネットで8000円から15000円くらいで買える。ということは、店先や古書展に出ればもっと安く買えるということだ。克書房ならバラで1000円以下、だろう。
彷書月刊の原稿、ようやく書く。仙台「萬葉堂」について。倉敷「蟲文庫」、仙台「火星の庭」は、筑摩書房単行本のための取材ゆえ、いまは書かない。それから、ちくま文庫から出る枝雀の解説をぼくが担当する、という誤報が流れたが、ぼくではありません。ぼくに依頼しよう、という予定がその後事情があって変わったのだが、そのまま流れてしまったらしい。書きたかったけどねえ。