おに吉 3 できました!

前夜から今日の午前中にかけて、大人のウォ−カーの書評、教養セミナーの古本コラムを書く。前者には、庄野潤三ガンビア滞在記』みすず書房高橋徹(高は正字)『月の輪書林それから』晶文社、『ふらんす 80年の回想』白水社を取り上げる。これぐらい好きな本を並べられれば本望というもの。ただし、字数は三冊で1200字。『ガンビア滞在記』は、もう3、4回読んでいて、今回は通読はしなかったが、ところどころ読むと、文章のまろやかさ、ユーモア、適格さが一級であることを再確認する。これを読んでしまうと、はっきり言ってしまうが、この10年くらいの、庄野さんの身辺雑記シリーズはのびきったゴムのようでとても読めない(ほめる人が多いが、あえて言う)。70歳を過ぎたら、ひょっとしてちゃんと読むかもしれないが(いちおう、出るたび買ってはある)、それまでは、旧作を再読するほうがよほどいい。
ちくま文庫のイラスト、描いては書き直し、コピーをとっては切って貼り直すなど苦心する。「ちくま」のr見開きスペースにそうは詰め込めない。ふだん絵を描いていないので、手が動かない、など参ったなあ。それでもなんとか仕上げて、ファクスで見本を送付。青木さん「やあ、いいですねえ」と言ってくれてひと安心。
いま話題の坪内祐三『極私的東京名所案内』彷徨舎が届く。いいなあ。死ぬまでに一冊、こういう本を持ちたいものだ。函の青もいいし、黄色い本体を引き出すとき、なんともいえない興奮がある。この判型は、吉行淳之介潮出版社から出た「わが文学生活」シリーズ『夢を見る技術』ほかを思い出す。あれも、手に持った感じや、本体を引き出す感じがじつに楽しかった。
夜、近くにできた中華料理店で家族で食事をし、上々堂へ少し補充、そして売り上げ金をもらう。このところ、ずっと1万7000円台。レジ前にあった「おに吉 3」を一つもらう。上野茂都さんの「仏文節」に始まり、穂村弘さん、三浦しをんさん、南陀楼綾繁さん、みやこうせいさんと執筆陣も豪華。いいのかね、こんなローカルな小冊子に、と編集長は思うのであった。そして、わたしと久住卓也さんのコンビによるマンガ「おに吉の冒険 2」もありまする。みな、中央線、荻窪西荻、吉祥寺の指定古本屋へ急げ。
追加
さっきサッポロの須雅屋さんから電話。本日の日誌に、とんでもない間違いをしていることを、さりげなく指摘してくださった。あぶないなあ。須雅屋さんと初めて喋れてよかった。わざわざ、ありがとう。