2日で38冊買ってしまった

22日夜、BSで「寅次郎相合い傘」を見る。いわゆるリリーもの(マドンナ・浅丘ルリ子)の第2弾。このシリーズの最高傑作と言われている。さすがに脚本も出演者もが画面も弛緩のない、素晴らしい出来。鉄火と純情をないまぜにした浅丘ルリ子が素晴らしい。浅丘さんにもインタビューしたことがある。舞台が終って、楽屋で取材したのだが、「ねえ、どうだった。若い人の意見も聞きたいのよ」と、真摯に詰め寄られたことを覚えている。いい人だと思った。
昨日は五反田。でかけたのがもう3時くらいになっていた。五反田は毎回、9時過ぎには出陣するから、遅い出だ。しかし、負け惜しみではなく、閑散とした、遅い出陣もなかなかいいもの。心穏やかに、焦らず、ゆっくり見ることができるから。それでも18冊を買う。月の輪、なないろ両氏にあいさつ。
有馬頼義『夜の配役』文藝春秋新社はすぐ目に飛び込んだ。カバーデザインがいい。ほほうと手に取ったら、これが佐野繁次郎だ。例の書き文字ではないが、あざやかなデザイン。これが100円。長井修吉『サラリーマンの生活戦術』実業之日本社・昭和3年は、かつて目録で5000円で買ったが、それがこの日、月の輪の出品で200円。うーん、とうなってつい買ってしまう。これ、全部書いたら、たぶん気絶する人が出るかもわからないからやめる。9時過ぎに来ていたら、大変なことになっていた。
別冊新評「稲垣足穂の世界」だって300円。宇野亜喜良デザインの九条今日子『不思議な国のムッシュウ』の元版も200円。戸板康二の献呈署名入り『女優の愛と死』河出ペーパーバックが200円とうなりっぱなし。これが、もう開場から5時間以上たっている。階上では、書肆ユリイカ本、鈴木享『少年聖歌隊』が裸本だが400円。こないだ京都で山本赤貧善行と喋っているとき、ユリイカ本を、現代詩人全集のほかは持っていないと喋って「ええっ、ほんまか!」と山本に凱歌を挙げられたところだったのだ。
夜、上野でナンダロウ氏と、「ぐるり」の五十嵐氏と渋谷毅ライブを聞く。この模様はナンダロウ氏の日誌を参照。
本日は、午後に早稲田で学習院生涯学習センターの生徒さんたちと、早稲田古本街の実践編を挙行。あいにくの小雨だったが、無事、同講座はこれで済んだ。最初に古書現世の向井若大将に、早稲田攻略のアドバイスを受けた(お土産つき)。ぼくも素に戻って、古本屋回り。ひさしぶりの早稲田だったが、均一のみで13冊拾う。平凡社カラー新書阿川弘之蒸気機関車』150円、開高健『最後の晩餐』の単行本が50円、半村良『雨やどり』(滝田ゆうカバー、初版帯)が20円と、もうむちゃくちゃなデフレ。あとで、生徒さんたちと喫茶店で戦利品の品評会をやったが、たかだか1時間弱で13冊もひろって、合計1000円以下、だったのには、あきれていた。すんまへんなあ、こんな先生で。
このあと向井若大将のお母上(若い!)に挨拶し、若大将と喫茶店でダべる。すでに成果は十分ながら、せっかくだから、高円寺即売会も覗く。こちらは穏便に4冊。昭和十一年の『婦女日記』はデザインに引かれ315円。岩波写真文庫「倉敷」150円は、蟲文庫さん、原稿の参考に。吉田健一、小沢書店『訳詩集 葡萄酒の色』の350円には驚いた。持ってたって、これは買うよね。あとは昭和34年の小学4年生付録「お正月読物号」を315円で買う。69年から73年ぐらいの「少年マガジン」が200円、300円で大量に出ていて、欲しいものがずいぶんあったが、2、3册なら買い占めるが、これだけあるとなあ。
ポプラ社から娘にゾロリのカルタが届いていた。朝日のベストセラー快読に、娘の名で書評を書いたお礼なり。この日、ずっと歯が痛く、夜はおかゆ。そして酒。