100円の本を買うだけのリアリティ

TBSおえて、ハイヤーで吉祥寺へ。「森本毅郎スタンバイ」は、来週、ドイツからの放送。森本さん、遠藤さん、スタッフはドイツへ明日から、順に向うという。もちろんぼくには関係ない。行きたいけどドイツ。
今日は、家のローンの三年目の契約切り替え、妻と待ち合わせて銀行窓口へ。いろいろ書類にサインしなつ印。いつも100円の本を買ってる男が、その一万倍十万倍クラスの数字を説明される。ぜんぶ妻まかせで、ぼくは耳にシャッターを締める。それでも、わずか30分ほどで5年ほど歳をとった気がする。妻の実家からの援助もあり、繰り上げ返済したので、あと17年でローンを終える。ぼくは65歳か。それまで生きているかどうか。本気でその自信がない。
妻は、がんばって少しづつでも繰り上げ返済して、ローンの期間を縮めよう、というが、ぼくの命も縮んでいくような気がする。なんとか娘が成人するまでは、と思うが。本のために家を買ったが、それがいま、じわじわと我が首を締め付けている。持ち家の人なら、毎年、軽々と数回海外旅行へ行けるお金を支払い続けるわけだ。
せっかく振り込まれたギャラも税金等であっというまに消えていく、と妻に聞かされ、とにかく、目の前の100円の本を買うリアリティだけがぼくを支え続けていると思うことにする。こう書くと妻が悪く思われそうだが、そうではない。めんどうなことは、なにもかもいっさい、彼女が負っている。ぼくは古本を買ったり、こうしてパソコンに向って文字を放っているだけ。
帰宅してベッドにもぐりこむ。奈落の底へ落ちていくように眠りにつく。TBSのある日は、いつもこんな、だ。ドイツか、いいなあ。ポプラ社の鎌田さんからメールが入っていた。今朝、紹介した『ダンボールハウス』は、鎌田さんの担当なのだ。ありがとうございます、と礼が。編集者のお礼と褒め言葉、それに100円の本が……まだ言うか!
夜、臼田捷治『装幀時代』、大貫伸樹『装丁探索』などをメモを取りながら読む。古本講座で装幀で本を買う、という話をするつもり。インビテーション、明日が締めきりだが、明日は五反田、それに、河上くんと上野でジャズライブを聞く予定がある。なんとか今夜中に、と思う。思うが……
前日の「澁澤龍彦そっくりさんプロジェクト」、コメント欄の書き込みで盛り上がっております。年末の忘年会で、荻原くんに余興でやってもらううか。