身体が肉を欲して

昨日のことを忘れないうちに書いておこう。毎日新聞社ムック「築地まるかじり2006」の文学散歩、4ページ原稿にようやく着手。野田宇太郎『東京文学散歩』をベースに、芥川、鏑木清方荷風高見順、九条武子などをあちこちから引っぱりだしながら書きすすめる。
午後、国立周辺まで自転車散歩。立川羽衣「いとう」へ久々に行く。竹内書店の『ゴダールの世界』が250円、えらい安いやん、と買ったが、家に帰って点検すると線引きがあちこちにあった。まあ、読めればいいか。それに岡本おさみビートルズが教えてくれた自由国民社が300円であったのには驚いた。ぼくはこれまで、「ささま」の音楽の棚に挿してあるのしか見たことがない。もちろん買う。すでに一冊あるので、これは拓郎仲間の白石に進呈、だ。文庫もごそごそと4冊。教養文庫がけっこう揃ってるな。藤井常男『車窓から見た日本の植物』を100円で。これ、「日本の植物」ってところは興味ないけど、車窓に引かれる。昭和36年刊だから、新幹線が走る前の日本全国の鉄道、駅、車窓が写真で撮られている。貴重なり。奥付みると、欄外に「担当 八坂安守」とある。これ、「八坂書房」の八坂さんだ。かつて「東京人」でインタビューしたことがある。もう一度、じっくり教養文庫編集者時代の話を聞いておきたい。
夜、どうしても身体が肉を欲して(Hな意味じゃないよ)、家族で焼肉。終って、恒例の「ブ」まわりをしようということになり、八王子を目指すが、途中渋滞。あきらめて東久留米「ブ」へ。講談社文芸文庫が目に入る。後藤明生首塚の上のアドバルーン』、杉浦民平『ノリソダ騒動記』なんてところは、めったに見ないや。勢いで、斎藤孝の名前ほどよく見る、清岡卓行アカシヤの大連』も買ってしまう(しまう、ってことはないが)。谷川健一『魔の系譜』講談社学術、も105円。谷川さんには、この業界に入ってすぐ、自宅までインタビューに行っている。南方熊楠について、だったな。谷川さんは「ちゃんと取材のギャラを現金で持ってくるように」とおっしゃった。無理もない。見たことも聞いたこともないような出版社、雑誌だったから。それぐらいの自衛は必要だ。
マガジンハウスのムック『向田邦子を旅する』ってのは、出てたのを知らなかった。300円、買う。
伊藤信吉『逆流の中の歌』には知らない詩人もたくさん出てくる。こういう人たちの詩を、どうしたら読めるのか。偶然、尾形亀之助のことを調べるために、手元近くに出していた創元文庫『日本詩人全集』第9巻を開いてみると、逸見猶吉、草野心平竹内てるよなど、『逆流』に出て来る詩人の作品が掲載されている。それも当然、この巻の編集は伊藤信吉だった。
阪神、いきまっせ。道頓堀、飛び込み防止の防御壁を作ったようだが、なんだかバカバカしいや。若者よ、それでも君は乗り越えてダイブするのか。「君はゆくのか、そんなにしてまで〜♪」。やりなはれ、やりなはれ。おっちゃんは責任持ちまへん。
9月15日、さすがや須賀屋さん(須雅屋さんと書くべきなのか)の日誌は、大菩薩峠級の長篇。飲物持参で読みましょう。詩の投稿と入選(おめでとう!)、伝説の古本屋死去のニュース、恐るべし泥酔の魔人とのカフカ的ひと夜など、読みどころが多いなあ。しかし、がんばって書いておかないと、この世から消えてしまうようなエピソードもあるから、やはり書いておいてもらってよかったのだ。