名古屋でトークショー

昨夜、大阪から帰ってきた。11日(日)JR名古屋タカシマヤ古書セール会場でのトークショー。少し早く着いて、会場を回り、今日のトークショー用のネタに4000円ほど買う。明治期の絵葉書や、在日外国人の書いた『小鳥のささやき』という口絵入りの本、婦人雑誌など。会場の一角に椅子を20脚ほど並べ、どうやらそこが会場らしい。古書セール会場のどまん中。大きな立て看板にぼくと近代ナリコさんの名が。しかし、ここでも岡崎武志の志を間違っていたらしく、上から紙が貼って書き直してある。うーむ。
トークは40分ほど。ぼくがナリちゃんにあれこれ質問する形式。一番前で、苦虫かみつぶしたご老人が座っていて、途中から眼をつぶって身体が斜めになっている。お気に召さなかったらしい。それなら来なきゃいいのに。しかし、総体として熱心に聞いてもらえてよかった。「女性のための古本講座」と銘打ったので女性が半分以上。最後のサイン会でわかったのだが、なかに、このブログを読んでくれている女の子がいて、秋からの中日栄文化センターの講座も申し込んでくれたという。ほんと、これはうれしかったなあ。名古屋は知る人もなく、ほんとうに受講者がいるかと心配していたから。それに彼女、五木寛之『風に吹かれて』集英社文庫を、あっさり「ブ」で見つけたという。ナンダロウくんも高崎で見つけたみたいだし、ぼくだけどんどん乗りおくれていく。ポプラ社の営業の方もわざわざ二人、会場に来てくださり、本も買ってくださった。ありがとうございました。本もけっこう売れた。名古屋はいいところだ。
トークショー終って、栄中日文化センターの担当者Mくんが、来場者にぼくの講座のチラシを配る。そこでぼくもちょいと宣伝しておいた。
以下、告知です。もしこのブログをお読みの方で、名古屋在住のかた、いらっしゃったらぜひ御参加ください。

栄中日文化センター10月開講講座
岡崎武志の古本極楽道場

いま、古本の世界がおもしろい。古本には時代の記憶や匂いがパッケージされています。それを買うことは、時間を遡ってその時代に触れることでもあります。古本は手軽なタイムマシーン。また、古本を楽しむことでもう一つの新しい読書体験ができます。手軽でお茶目で感動的な古本世界にみなさんを誘いたい。

開講日時
2005年10月16日(日)、11月20日(日)、12月18日(日)、2006年1月15日(日)、2月19日(日)、3月19日(日) 
13:00〜14:30

場所
栄中日文化センター
名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル
名古屋市営地下鉄「栄」駅、名鉄瀬戸線「栄町」駅下車

受講料
6回分10,710円
申し込み
フリーダイヤル0120-53-8164
www.chunichi-culture.com

ついでに東京での古本講座の問い合わせ先も。
朝日カルチャー(新宿住友ビル内) 03・3344・1941
10月21・11月11日(夜7時から8時30分)

学習院生涯学習センター 03・5992・1041
10月1・15・22(3回)10時45分から12時15分

明治大学リバティ・アカデミー 03・3296・4423
10月29日以後、毎週土曜日(5回)田村治芳さん、日月堂さん、ミス古書野村さんが各ゲスト。
10時30分から12時

みなさん、奮って御参加ください(受講者少ないとかっこ悪いので)
毎回、終ってからお茶でも飲みながら交流会をするつもりです。

トークショー終り、とっぱらいのギャラをもらって、地下食品売場の「酢」のコーナー(日本でただ独り、酢ソムリエがいる)へ行くというナリちゃんと別れ、栄中日Mくん、Sさんと会場となるセンターへ移動。そこで、中日新聞に告知する記事の簡単な取材を受ける。Sさん、タクシーの車中から話していてわかったがヘビイな古本好き。「スムース」が「古書現世」に置いてあったのは、なぜですか、なんてことを質問される。こういう人なら安心して古本のこと話せる。
このあと名古屋駅へ移動し、新幹線で大阪へ向う。立っても一時間かからないと思い、自由席で乗り込んだら、いっぱい。名古屋万博の帰り客がなだれこんだのだ。あわてて指定席へ行き、車内で指定を取る。新大阪で高校時代の拓郎つながりの友人、白石と合流。なんば「シダックス」で、3時間、えんえん拓郎だけを歌う。バカですねえ。来年の「つま恋」の前夜祭(どこが?)のつもり。
この晩は、友人のMさん宅へ泊めてもらう。ぼくのアニキ的存在の人なり。
12日は、朝からMさんが専門学校で授業があるというので、いっしょに早く家を出る。昼に山本と待ち合わせているが、それまで時間をつぶしようがない。今回、野村宏平ミス古書』で、東京から新大阪へ行くとき、乗車券を往復で買うのに、西明石まで買った方が安い(601キロ以上だと一割引きになる)ことを知り、そうしたので、まだ「往き」の乗車券が生きている。それを使って神戸・三ノ宮へ行くことにする。新快速だと20分で三ノ宮へ着く。まだ9時を過ぎたばかりで古本屋は開いてない。異人館のある山の手までぶらり散策。北野周辺は平日午前中とあり、観光客も少なく静か。異人館エリアは前に一度来たことがあるが、完全な観光地と化し、呼び込みはあるは、チープな土産物屋はあるは幻滅。直登の急坂を汗をぶりぶりかきながら上る。異人館より、むしろふつうに建っているお屋敷ふう民家のたたずまいが愉しい。
10時過ぎ、サンパル内に4、5年前にできたばかでかい古本屋「MANYO」を訪ねる。このあたりのことは「彷書月刊」に書く予定。
1時に梅田阪急古書の街で山本と待ち合わせ。少し早く着き、古書の街を散策。加藤京文堂さんの顔を拝む。「彷書月刊」のグレゴリ青山さんのマンガを思いだし、ついおかしくなる。この日は、筆記具のボールペン、鉛筆、万年筆の優劣を京文堂さんがバイトの女の子に講義しておられた。「やっぱり万年筆やなあ」とのこと。山本と「ぼてじゅう」で昼飯たべ、天牛書店江坂店へ。山本はひさしぶりとのこと。ここはいつも来るのが楽しみだが、この日はなかなか買えない。山本と二人、「なにか買ってかえろう」と、うんうんうなりながら、数冊を選ぶ。このあと天三「天牛」「矢野書房」と「ミ−ツ」でぼくが推薦して編集部が取材した2店をまわる。しかし、買えない。なにしろぼくと山本だから。ぼくは山本の目の前で、均一から、田中小実昌『サンチェゴふらふら』を抜く。100円。「ゴッド・ハンド」の目の前から抜いたところが値打あり。「矢野書房」では集英社新書が創刊当時に出した非売品の新書を200円で。たった一冊、しかも200円とはあんまり恥ずかしい買物なので、挨拶せず、しらばっくれて帰ろうと思ったが、矢野ブラザーズの弟さんが顔を見て「ああ、こんにちは」と言うので、あわてて挨拶。「ミーツ」のお礼を言う。
まあ、そんな名古屋、大阪行きでありました。
あ、書き忘れたこと。山本と梅田周辺を歩いているとき、阪急百貨店の建物の前で、「この建物、いつもほれぼれするなあ。見るのが楽しみや」というと、山本が「たしか建て替えられると聞いたで」という。ショック。なるほど、今朝の朝日新聞に、その旨を書いた記事が掲載されている。コンコースは14日から工事用フェンスに遮られるという。ぼくらがどうこう言っても始まらないが、なんでやろなあ。あの阪急の建物と、天井の高いコンコースは、日本の駅ビルのなかでも誇れるもんやったが。残念でならない。