不機嫌な作家たち

どうも気の晴れない日が続く。忙しいというのは理由にならない。ほんとうに忙しい人に比べたら、まったく問題にならない程度の仕事量だからだ。人と会えば、人に合わせて、それなりの会話もするが、離れるとすぐ、ずぶずぶ道路に沈んでいくような感覚。
昨夜から今日にかけて、神保町ムックの八木福次郎さんインタビューをまとめ、彷書月刊の連載をまとめる。これが7枚と6枚くらいか。午後、昼食後また眠ってしまう。しかもけっこう深く眠り込む。起きてテレビをつけたら、CSで阪神が横浜に勝っていた。中日が負けて、これで3差。中日ファンには悪いが、なんとか今年は阪神に優勝をゆずってください。
今週は取材、打ち合わせ、ラジオ出演、原稿締めきりが詰まっている。松本あたりの空気を吸いにいきたくなる。松本駅を降りたら、正面にバーンと山が見えて、空気がはっきり違うことがわかる。古本屋を何軒かまわって、ソバを食べて、珈琲を飲んで帰ってくる。そんな旅がしたいのだ。
祖田浩一(今年2月に亡くなられたんですね)『不機嫌な作家たち』を読む。今日出海松本清張子母澤寛檀一雄などが登場。著者は新聞に連載小説を配信する会社の編集者だった。これらの作家を少しでも尊敬する人は読まないほうがいい。はっきり言って、むちゃくちゃだ。新聞小説の原稿取りに行く苦労話がほとんどだが、小説家が編集者の著者を虫けらほどにも思っていないことがわかる。わがまま、威張る、理不尽、そしていつもつねに不機嫌。一日3回も足を運ばせて、そのうえで暴言を吐いて約束を破る。同じ作家を担当した女性編集者の回想では、とてもそこまではいかない。女性にはやはり甘いのか。しかし、これほどの扱いを受けるというのは、著者自身にもなにか問題はあったのではないか。それほど対応がひどいのだ。ぼくも軽ライターとして、取材するときについては過去に何度か屈辱的な目に遭ってきたが、それ以上に、この仕事をやっていてよかったと思えることも多かった。まあとにかく一読の価値はある。