風邪でダウン

昨日の銚子行きがまず寝不足で、今朝、大阪の「ミーツ」という雑誌に、リード2本送るため早起きする。それがいけなかったのか。今日は12時にアクセスで河上くんと待ち合わせ。そのあとサンデー毎日という予定。中央線のいちばん前の車両で座って、ずっと日垣隆『売文生活』を読んでいたら、だんだん腹立ってくる。すべてが値上がりするなかで、原稿料は20年前とほとんど変わらない。「物価の優等生」と皮肉っぽく日垣さんは書いているが、原稿料はたまごか!
車内の冷房が効きすぎてる感じがしたが、四谷を過ぎたあたりから、半袖から出た両腕がゾワゾワと粟立ってくる。やばい、と思ったが遅かった。御茶ノ水を降りて、神保町へ向うのに息もたえだえ。駿河台下でとうとう立ち止まり、しゃがみこむ。それでも、河上くんとの約束を破るわけにはいかない。同じ打ち合わせで一回、やはり風邪ですっぽかしているからだ。アクセスから蕎麦屋でカレー南蛮を食べ、そのころは小康状態だったが、ぶらじるで話をし始めたら、意識が遠くなっていく。あわてて便所へ飛び込み吐く。河上くんにあやまって、最小限の打ち合わせにしてもらう。竹内くんにも心配かけた。
一歩、一歩、亀のように毎日新聞社へ向う。担当のIさんに事情を話し、本だけ選んで宅急便で自宅へ送ってもらい、自宅から送稿にしてもらう。15年近く、サンデーの仕事をしていてこんなこと初めて。
帰りの東西線弱冷房車はない。むき出しの腕がこわい。網棚の新聞紙を探し、腕にまきつける。異様な姿に見えただろうがしかたない。
帰宅して水をがぶがぶのんで、ひと寝いり。汗をおもいっきりかく。これが風邪の退治法なり。夕方、「
ミーツ」の残りのリードを送る。ぼけて、なくようぐいす平安京を、なくなうぐいす平安京と書いてしまう。編集者に指摘され赤くなる。あとひたすらベッドで横たわる。枝雀の10枚組LPをかたっぱしから聞く。時々眠りにおちる。
今年の夏は、こんなこと初めてと思える程体調は最悪で、京都から帰ってきても、一日、3、4回、眠っていた。ごはんを食べたらすぐ寝るという習慣ができた。自律神経がおかしくなっているのか。身体にそうとうガタがきている。いつもは冷たい娘も、今日は優しく、心配しているようだ。
そんななかでも田村の店頭無料箱から、昭和六十年の「高等学校用 国語2」筑摩書房を拾う。ほんとうはじっさい、自分が高校時代に使ってた国語の教科書が欲しいのだが、これは、ぼくが国語の講師をしているとき使った教科書なり。口絵の岸田劉生「切り通しの写生」に見覚えがある。中島敦山月記三木卓「はるかな町」柳田国男「清光館哀史」漱石「こころ」などを教えた。古典と漢文もいっしょに入っている。そのほか、坂口安吾「ラムネ氏のこと」武満徹「暗い河の流れに」梶井基次郎「交尾」など、めちゃくちゃレベルが高い。辻まこと竹西寛子なども掲載。