あの『アメリカの鱒釣り』が新潮文庫に!

昨夜、けっきょく徹夜で、日月堂の原稿を書く。ようやくスタイルみたいなものがつかめて、原稿も動き出す。3分の2は書いたか。
TBS、森本さんは夏休み。代わりに中村アナウンサー。朝食会で、みな携帯電話の最新モデルの性能について語るが、ちんぷんかんぷん。眠くてしょうがない。帰宅して、あれこれ雑用すませ、午後、眠る。
ポプラ社から、ガートルード・スタインの絵本とともに、ポプラ社気付で届いた手紙が回送されてくる。日立市の住所。ぼくのファンだという。ありがたいことだ。ていねいに礼状を書く。東松山の岩田さんから「gui」が届く。瀟洒な装幀の詩とエッセイと小説の同人誌。「キャット・フィッシュ」で岩田さんと出会ったこと、書かれてある。田中栞さんからは「田中栞の古本教室」という小冊子。10月に仙台「火星の庭」で、講座を開くという。昨晩、そういえば「火星のわが家」という鈴木重子主演の映画を見た。それぞれ礼状を書く。
ブローティガンアメリカの鱒釣り』新潮文庫がそろそろ店頭に並ぶころ。夕方、自転車を走らせ、国立「増田書店」へ。あった、あった。あの『アメリカの鱒釣り』が文庫になるなんて。それも新潮文庫に。これはなんと素敵なできごとだ。感動して買う。もう、今日のぼくは、なにがあっても怖くないぞ、と思う。解説が柴田元幸というのもナイス。そして、訳者あとがきで知ったのだが、ブローティガンの遺品から未発表原稿が見つかり、それが今年九月末に、藤本和子さんの訳で発表されるという。思いがけないことだ。『不運な女』という、らしからぬタイトルで。
このあと谷川書店へ寄るが、なにも買えず。『アメリカの鱒釣り』文庫化のインパクトが強すぎるのだ。店内、ほかに誰もいず、珍しくぼくのほうから谷川さんに話しかける。今江祥智が国立にいるころ、銭湯へ行くついでに寄った古本屋、というのはどこか。谷川さんでは? と思って聞くと、やはりそうだった。「あの人とはよくお酒を飲みました。鶴見(俊輔)さんの引きで、京都へ行ったんです」と語る。それから、気分がよかったのか、店のお客からの頂き物を記録したノートを見せてくれる。ほぼ毎日、いろんなものをもらっている。日本酒、甘いもの、タバコほか。谷川さんという古本屋と客の関係が、このノートに如実に表れている。