ああ「松葉」ね

朝、7時に目覚ましをかけたのには訳がある。世界わが心の旅で、山口昌男さんのベルギー編が再放送されることを、ケーブルテレビの番組表を見ていて知り、あわてて、目覚ましをかけた。そして、見た。ベルギーのギャルリ・ボルティエを始め、訪れた古書店が出てくる。そして、最後「ルデュ」ヘ。村の小学校の建物のなかに古本屋があり、山口さんはそこも訪ねている。ぼくが行った3年前、そのことは知らなかった。くらべること自体、おかしいのだが、山口さんはフランス語もベラベラで、学識がまるで違うため、古本探索でもより深い。しかし、日本とはまた違う、古本の棚のたたずまいを見て、また無性に海外へ行きたくなる。これはもちろん録画した。石丸くん、いちど、見においで。貸してもいいけど。
午前中、週刊ダイヤモンドの文庫コラムを書く。今回、詩集を三冊取り上げた。経済誌の書評で、詩集を取り上げるのだから、多少は工夫がいる。谷川さんの詩からは、よく引かれるところだけど、次の個所を引用する。
 百年前ぼくはここにいなかった
 百年後ぼくはここにいないだろう
 あたり前のようでいて
 地上はきっと思いがけない場所なんだ
(「朝」)
夕方外出。武蔵小金井で、娘が幼稚園時代のパパさんたちと飲み会。うち一人があさって、中国へ赴任するのだ。先日、家族ぐるみでお別れ会をやったところだが、男だけで、と要望があり集まった。居酒屋で下地をつくって結局4時間カラオケ。さっき帰ってきたところだ。国立「ブ」で、川本三郎『忘れられた女神たち』ちくま、佐多稲子『灰色の午後』講談社文芸、ユゴーレ・ミゼラブル(一)』新潮と文庫3冊を買う。『レ・ミゼラブル』は、東京新聞書評の黒岩涙香訳『噫無情』の参考のため。
娘の「まんが道」話。昼食時、先日テレビで見た散歩番組で池袋から椎名町を取り上げていて、トキワ荘跡と、トキワ荘の連中がかつて通った食堂が紹介されていた。まだ、残っているのだ。そのことを娘に話し、「こんど、藤子や赤塚がよく食べにいったラーメン屋に行ってみようか」と誘うと、「ああ、松葉ね」と返す。たしかに、その食堂は「松葉食堂」だ。ぼくが忘れていた食堂の名をただちに答えたので驚いたのだ。