須雅屋の古本暗黒世界はさすがや!

昨夜、みなが寝静まってから、ネコが地下に降りてきて、ベッドで灯火、本を読んでいるところへもぐりこんでくる。サリンジャーフラニーとゾーイー』を読んでいたのだ。けっきょく、ひと晩中、ネコといっしょに眠ることになる。
退屈男さんに教えられたブログ日誌「須雅屋の古本暗黒世界」をさっそく開いて、読み始めたらおもしろく、さかのぼって、ほとんど読んでしまう。これ、第4回古本小説大賞受賞者の、札幌の古書店須雅屋」さん。ぼくと同じ1957年生まれで、現代詩の読者、と共通点がある。しかし、捨身の私生活公開のその覚悟はとても及ばない。かなり悲惨なことを書いていて、それが自虐であってもユーモアの糖衣があるため、暗くならない。たちまちカウント数を増やすこと請け合いの日誌である。タダでここまで書いていいのかね、と案ずるくらいである。
ここんところ、また深酒がすぎて、悪い目覚めが待っている。もちろん体調もよくない。高円寺古書展2日目に、午後からおっとりとでかけたら、会場で弓立社社長に「いい血色しているね。昼間から飲んでるの」と言われる。顔が赤くなるのは、糖尿が悪化しているサインだ。まずいな、自重、自重。
さて高円寺「好書会」。出店している店もおなじみなら、棚に並んでいる本も、なんだか2度3度とおなじみの本が多いぞ。ボウズ寸前のところで、長谷川集平『夢の隣』冬樹社200円を見つけ、そのはずみで、『児童文学作家案内』すばる書房、山岸外史『人間太宰治』筑摩を買う。いずれも200円。太宰は上々堂補充用と思っていただきたい。
しかし3冊はさびしいぞ。こうなりゃ、ささまだ。『太宰治全集 別巻』は研究編。藤島亥治郎『明治少年記』住まいの図書館、福永武彦『意中の文士たち(上下)』人文書院、『ムッシュ!』日経BP、片山龍二『アイディア紳士』講談社、『現代詩手帖 サンフランシスコルネッサンス』、岡澤澄江『歌集 群青天使団』書肆季節社を均一で。最後の歌集は、季節社のすばらしい造本に引かれ買う。著者のことは知らなかった。塚本邦雄ばりの、と思ったら、その塚本が解題を書いていた。「華麗なるパラッツォ・ドゥカーレ鳶色の胸かぎろひて少年は睡れ」「アルファ・ロメオ恋する少年禁色の鞭巻きしめて夜の薔薇園」とくれば、どうしたって塚本を想起する。しかし、いい本ですっつて。