腹をこわして大慌て!

午後、『古本道場』にまつわるテレビ取材で、神保町へ。「王様のブランチ」という番組にビデオ出演する。また角田さんとコンビで、あれこれタレントのようなことをする。同番組で本の紹介をしている松田哲夫さん、西秋学さんが心配して見にきてくれる。西秋さんには、古書店の手配等、またお世話になった。西秋書店には行かないんだから、ほんとは申し訳ない話だ。最初、依頼を受けた時と内容が変わり、「テレビ的な感興」を重視した内容になってしまう。それでも、テレビで本が紹介されるんだから、なんでも言われたとおり、やろうと思う。ブカキンで均一を選んでいるところも撮る。寺田透和泉式部筑摩書房を選び、筑摩の松田さんと、この日本詩人選、兄弟シリーズとなる近代詩人選の話をする。後者は、20年以上を経て、まだ完結していないのだ。途中からシリーズとは違う装幀で、単独した書籍として出るようになった。たとえば、三木卓北原白秋筑摩書房
ポプラ社から矢内さんも付き添いで来てくれる。呂古書房の撮影終り、すずらん通りで待機していると、「岡崎さん、ですか」と声をかけられる。先日、書評の仕事をくれた産経新聞の猪谷さんだ。電話の声を聞いていたが、顔を合すのははじめて。やあやあ、と挨拶して別れる。神保町にいると、じつにいろんな人に出会う。
5時ごろ、無事撮影終了。角田さんはこれから帰って仕事だという。あ、そうそう。ウルムチ土産として、角田から、モンゴル語版「ちびまる子」、中国語版「タンタン」をもらった。珍品なり。さんきゅう。
なんだかひどく疲れ、地下鉄なら座って帰れるかと東西線三鷹まで、中央線にのりつぐ。車内うとうとしていたが、冷房が効きすぎてたのか、腹の調子が悪くなる。三鷹でトイレへ行けばよかったのだが、途中、どうにも切羽詰まった状況に。武蔵小金井駅で降りて、トイレを探し、三番ホームへ。しかし、「大」はふさがっている。さあ、えらいことになった。あわてて、また電車に乗り込み……っつて、どうでもいいでゲスね、こんな話。
ブログですでに話題の高田里惠子『グロテスクな教養』ちくま新書、読了。読了できたんだから、おもしろかったわけだ。ただ、一冊分、書くほどのネタかね、という疑問はつねにつきまとう。おもしろいのは著者が1958年生まれ、であること。またもや58年組か。だから、この本も人文関係の論文オタクのスクラップブック、という感じあり。『文学部唯野教授』に出てくる柄谷らしき人物について、柄谷が『季刊思潮』の座談会で言及。ところが、この座談会が単行本になったとき、発言に削除があったと指摘している。これ、オタクですよっつて。もちろん、悪口じゃないですがねっつて。
ニューアカへの言及が多いのだが、これこそ「教養主義の極限の姿」で、それは「虚名の時代」でもあったという。名前が歩き回った時代。浅田彰中沢新一栗本慎一郎たちのこと。
そして、それらの名は「印刷された文字だったから、四方田とか丹生谷などの読みにくい苗字は有利だったような気がする」という。こういうところはおもしろいんだよ。実感、があって。しかし、フィミニズムっぽい立場に立った言説になると、とたんに「あああ、けっきょく、そこね」と陳腐になる。足を凡庸にさらわれてしまうのだ。