雪に生きる男の孫

月に数回、朝の殺人的満員ラッシュに身を置く日がやってきました。五反田です。遊古会。今日は、珍しく、神田と高円寺も初日。月一回、9時半から一階均一が開く五反田は見逃せない。で、早く行きました。会場へ着いたのが9時ちょい過ぎ。それでももう、20人ぐらいの人がいた。いちおう戦利品を書く。
マダム・マサコ『巴里案内』は裸本だが200円。以下、断らないかぎりは200円です。水木桂子・和田誠の絵本『エリセラさんご』はリブロポート刊だから絶版、と思って買ったら、別の社から出てるみたい。
辻留『豆腐料理』『現代豆腐百珍』は佐野繁の装幀本。永倉万治『新・昭和30年代通信』はちくま文庫に入ったけどね、写真やイラストが元本には多数あり。『タモリのちょっとアレですが』は、構成が永瀧達治。ゲンズブールの本を訳したり書いたりしている人。中身は現代ふうバレ話やコントふう笑話。かなりよく言うと、ウディ・アレンの本みたい。珍しいよ。これは100円だった。高田文夫『コントもかけば恥もかく』。高田義一郎『人体名所遊覧記』は持ってんだけど、200円だから買っちゃった。永井龍男『皿皿皿と皿』河出書房、は変わったタイトル。週刊朝日連載の掌編小説集。島尾敏雄『南島通信』潮出版も200円。これは買うよな。大木篤夫の詩集『危険信号』は昭和5年刊のアルス版だ。カバーはないけど、これが堂々たるいい本なんだ。コスモポリタン製菓の社史というか、神戸の洋菓子界の歴史にもなっている『コスモポリタン物語』は非売品だ。RCサクセション『遊びじゃないんだ』。昭和36年、読売新聞に連載された「よみうり演芸館」に連載された「落語」の話(執筆は林家正蔵)をまとめたスクラップ帳が300円。上に上がって、『世界の絵本 月世界旅行』新潮社は、昭和26年刊で1000円。どうもSF映画「月世界征服」の画面をつかって、月へ行く話をまとめた絵本らしい。ロケットなんて鉄腕アトムの世界で、ちょっとバカっぽいの。こういうのはおもしろいんだ。あと下で「宝島」81年10月号を買ったら、どういうわけか昭和43年の年賀ハガキが2枚入っていて、男性から女性へ宛てたものなのだが、これが男が書いた小説の一部になっている。差し出し人のところに「ヨチオちゃんダヨォーン」って書いてる。バカだねえ。はずかしいねえ。
マダム・マサコ『巴里案内』は、「くらげしょりん」さんがHPで書いた「佐野繁次郎マダム・マサコ」を読んでいたから買ったのだ。勉強になるんだなあ、この文章が。
ほんとうはこのあと、神田へ行って、高円寺へと思ったけど、荷物が重たいし、なんだか疲れてしまった。高円寺へだけ途中下車していこう。高円寺へ着いたのが11時過ぎだけど、会場はひと荒れ終ったらしく、閑散としていた。現代詩読本の『瀧口修造』500円と、小田光雄・河野高孝・田村和典『古本屋サバイバル』500円を買う。後者は電車のなかからずっと読んでたけど、めちゃくちゃおもしろくてタメになる。夢中になって読了。
家へ帰ったら、産経の猪谷さんから、書評用の山路和広『フライング・ブックス』晶文社が送られてきていた。挟まった手紙を読むと、ぼくがメールで送った、ある疑問に対する答が書いていた。やっぱり! ぼくは、スキーの猪谷千春さんの一族じゃないかと踏んだわけだ。すると娘さんであることがわかった。猪谷千春(男性ですよ)は、コルテナ五輪の回転で、日本初のスキーメダリストとなったスキーヤー。「世界わが心の旅」に出演した回はぼくも見た。そして、その父は『雪に生きる』の猪谷六合雄だ。日本スキーの先駆者、人生の放浪者、また志賀直哉「焚火」のKさんは、この六合雄だ。あわてて高田宏『猪谷六合雄』平凡社ライブラリーを引っぱり出して読みふける。凄い人!