『古本道場』60冊にサイン、イラスト、落款を入れる。

昨夜、けっきょく着地できず、眠ってしまったので、今朝、5時半に起きて、ねじをまき、仕事だ。社説をまとめるって作業は、とにかく集中力の持続を要する。7時くらいから始めて、10時に終らなかった。まずいなあ。
11時半に神保町「ランチョン」前で西秋くんと待ち合わせしているのだ。行きの車中、新潮日本文学アルバム『島尾敏雄』を読む。ひごろ、このアルバム、ちゃんと読むわけじゃないから、こういうとき読むといい。身体にすいすい入っていく。昭和27年〜36年は「狂気の深い淵」の章。昭和29年秋から『死の棘』に書かれる「カテイノジジョウ」が始まる。「父母の強い愛情と南島の穏やかな生活の中に育ったミホは、嫉妬や憎悪などの感情を知らずに成長してきた」。慣れない都会暮し、島尾の不実が、ミホの神経を傷つける。しかも夫は、かつて、島民に崇められた「島尾隊長」なのだ。
神保町へ着いて、八木書店店頭を見ていると、清水茂『詩とミスティック』小沢書店が出ている。定価3090円の本が300円。これは買うしかない。
「ランチョン」でランチ食べながら、西秋くんからUBCでの岡崎堂の売り上げをいただく。昨夜の打上げで、UBCでの売れのこりほか、50冊ほど、参加者に進呈したらしい。ぼく用にも6冊ほど持ってきてくれる。「本の雑誌」17号は、「谷川書店の親父はその時なぜ首をしめられていたのか」が掲載。ずっと椎名誠だと思っていたら(ぼくがそう書いた文章もある)、これは沢野ひとしの談話だった。たぶん、単行本のどこにも入っていないので確認できなかったのだ。あちゃあ。また失敗。
西秋くん経由で、EDIのFさんが撮ってくれた、スムースの会、UBCでの角田さんとのトークの写真を一式手渡される。これはいい記念になった。ちゃんとお礼を言わなきゃな。
西秋くんと別れ、アクセスで10冊、東京堂で50冊、『古本道場』にサイン、イラスト、落款を入れる。すぐにサンデー毎日へ。10冊書評。今日はおもしろそうな本がたくさんあったな。坪内祐三さんの『古本的』毎日新聞社も、もう出ていた。ただし、これは毎日の書評担当者Iさんがすでに紹介。
帰り「ささま」へ寄って、ごそごそ買う。店内ではユリイカ島尾敏雄特集号』を735円で買う。乾信一郎『ネコの小事典』なんていう、大判の写真がたくさん入った本を買ってしまう。ネコづいてきた。ほか、均一ではあかね書房の「少年少女世界推理文学」の『アルセーヌ・ルパンの冒険』を発見。これ、函と、本文イラストが和田誠なのだ。
帰宅して、郵便物を点検していると、岩波書店の現代文庫編集部からハガキ。これでわかった。昨年3月に産経新聞「追憶の一冊」で、ぼくが『芸人その世界』について書いた。それを読んだ編集者が、絶版になっていることを知り、現代文庫に入れたというのだ。永さんからのハガキ、『芸人その世界』が送られてきたのはそういうわけだったんだ。ぼくの書いた文章がなんらかの助けになったのならうれしい。
林さんの日誌によると、いよいよ島尾敏雄文庫リストが充実してきたみたいです。夕食後、少し眠って、これからまた仕事です。