三橋美智也ヒットアルバムは和田誠デザイン

午前中、ポプラ社矢内さんから電話。『古本道場』3刷、決定! どこまで行くか、楽しみ。
ほんとは今日締めきりのJノベルの小説時評のコラム、5冊読まねばならないのに、まだ2冊しか読んでいない。森絵都『いつかパラソルの下で』角川書店を読了、打海文三『ぼくが愛したゴースト』中央公論新社にとりかかる。昼近く、昼飯食べついでに国立まで自転車で。これがまずかった。谷川、「ブ」とはしごして、ここで火がつき、電車で荻窪「ささま」「ブ」と寄ってしまう。夜は夜で、家族で周辺の「ブ」や「いとう」をパトロール。全部で28冊も買ってしまう。あんたは業者か!
夕方、娘が歯医者へ行って親知らず(?)を抜いてくる。硬いものは食べられず、「民芸」へうどんを食べにいく。車のなか、前を行く車のナンバーが「65・43」であることを娘が発見。「あ、番号がロク、ゴ、ヨン、サンと続いている」と叫ぶ。なるほど。そこでぼくが、「あの運転手の名前は、にいち・れい、もしくはにいち・ぜろ、と言うんや。続けたら、654321になるやろ」「ぜろ、なんて名前、ないよ」と娘。「むかし、『背番号0(ゼロ)』というマンガがあった」と言うと、「テラさん、だったっけ」と言うのでひっくり返る。たしかに「背番号ゼロ」は寺田ヒロオの作だ。「なんで、そんなこと知ってるんや」と聞くと、出所は『まんが道』だった。娘は『まんが道』を数回、読んでいる。
買った本の話をするか。全部は書かないよ。今日いちばんの買物は、谷川書店での、後藤明生ドストエフスキーのペテルブルグ』三省堂だろう。500円だった。これは、ありません。ないよ。ほんとうに。そのあと、「ブ」でドストエフスキー死の家の記録新潮文庫を買ってしまったくらいだから、興奮したのだ。どこの「ブ」ってことじゃないが、富岡多恵子『大阪センチメンタルジャーニー』を買って、電車のなかで読んでいたら、鴨居羊子のことを書いている。
〈「革命的」な女性の下着をつくることは、多分鴨居さんの女性論だった。しかし『下着』ということもあって『風俗的』に取り扱われていたように思う〉
若き日、富岡は鴨居に会う。鴨居に「詩人」を感じた、と書いている。鴨居は、富岡の高校、大学と先輩だった。そのことを言う。しかし、鴨居は「意識的に無視した」という。〈わたしは自分を恥じた。彼女には学校が同じことなど無意味だったのだ。〉
かっこいいなあ! 鴨居羊子
島尾敏雄の文庫はほんとうにない。このところ、まずチェックするのがそれだが、いまでも手に入る『死の棘』を一回見ただけ。今日も家族で夜回りをして、最後、急に「秋津のいとう、へ行ってみるか」と提案。ここへ来るのは一年以上ぶり。ひとまわりしたら、新潮文庫魚雷艇学生』を発見。妻に「あったよ」と見せると、口をぽかんと開けている。あきれたのか、執念に驚いたのか、古本バカ亭主を持っていることにあきれたのか。まあ、その全部だろう。
そのほか、宮田昇『東は東、西は西 戦後翻訳出版の変遷』早川書房、が珍しい。和田誠椎名誠『誠の話』角川書店、はこんな本が出てたの知らなんだ。同じ名の二人(異業種監督、という点で共通)による対談。装幀の話のところで、和田が初期に、三橋美智也ヒットアルバムというレコードジャケットのデザインをしていることを知る。これ、欲しいなあ。