ぼくにだって若い女性読者がいるんだぜ

このところ天候不順。暑くなったり寒くなったり。一日のなかでも温度差はげしい。今日など、一点にわかにかき曇り、突然驟雨、それに雷が。どうなっとるんじゃい。
昼食後、妻が薬草植物園へ行こうと提案。自転車3台、家族で向う。いつもはがらんとしている植物園も、今日は駐車場も空き待ち、園内も人がたくさんいた。熱心に見ている妻を残し、娘と別行動。娘はスーパーへ。ぼくは東大和「古市」へ。文庫をごそごそ買う。『銀座百点 銀座ショートショート』旺文社、都筑道夫『サタデイ・ナイト・ムービー』集英社島尾敏雄『出発は遂に訪れず』新潮、小川洋子薬指の標本』新潮、後藤明生『笑い坂』中公、竹内浩三『戦死やあわれ』岩波現代。単行本で、『阿佐田哲也の怪しい交遊録』。
スーパーへ娘を迎えにいき、スナックコーナーでいちごフラッペを食べさせる。すると、出入り口近くのガラス越しにたくさん人が群がって外を見ている。さっそく娘と見にいくと、男性3人ほどが、一人の男性を地面に組み伏せ、押さえ付けている。どうやら、万引きかなにかで捕まり、暴れたらしい。靴は両方脱げ、足元に転がり、もうさっきからしばらくそうやって組み伏せられている。ときおりじたばたし、抑える店員が、腕をねじまげ、さらに手首をひねり、膝で地面に押さえ付けている。血が止まり、手のひらが白くなっている。腱が切れなければいいが。なにか、ひごろのうっぷんを晴らすかのように、過剰にテンションが挙がり、暴力的になっていると見えた。見ている客も、心配そうというより、あきらかに目の前の突発的な事件、暴力に興奮している感じだ。長く見せるのはよくないと思い、娘に「行こう」と言って、その場を離れさせる。パトカーの近づく音がする。
夜、高円寺「コクテイル」でふちがみとふなとのライブがある。始まる時間がよくわからず、6時に店に着いたら早すぎた。高円寺の古本屋をパトロール。アジアン・ドックで文化放送編『セイ!ヤング』ルック社を600円で買う。落合恵子全盛のころ。写真多用。資料的価値高し。
再び7時前にコクテイルへ行くと、もうカウンター席は半分くらい埋まっていた。石丸澄ちゃんがいて、その横に席を取る。そのとなり、白い服を着た若い女性がいて、話をすると、ぼくの本を読んでいるという。おまけにこの日記まで読んでいるとか。愛知から上京してまだ9カ月。コクテイルにはよく来るらしい。こんな若い女性が読者にいるなんて、うれしくなって少し話をする。
ふちがみとふなとは、いつもどおり、サービス精神たっぷりで、客を満足させ、沸せていた。ふちがみさんの作る唄は、ちょっと森雅之のマンガを想起させる世界。浅川マキの「かもめ」をうたったのは初めて聞いたが、これがよかった。
ライブが終ってから、狩野さんに、金沢から来ている二人の女性を紹介される。彼女たちも、話を聞くと、ぼくの本を読んで古本にハマった。今回、上京して古本屋を巡っているという。なんだかひと晩に、若い女性読者に次々と出会い、こんなこともあるのかと、ちょっと鼻の下がのびる夜でした。