昨日の話で、今日は休み

昨日、午前、家族で自転車に乗り散歩。谷保神社に自転車を止め、ハケの道を歩く。このあたり、まだ田畑残り、農村の面影がある。矢川まで歩き、南武線で谷保へ。がらんとした駅前のラーメン屋で昼食。ほかにはあまり飲食店がない。このラーメン屋、女性が独りでやっている。髪の毛を後ろで二つにくくり、ケバイ顔。カウンター下に「ドリフト」なんとかというカーレース雑誌があった。なんだか、15年前までは、レースクイーンブイブイいわしてたのよ、てな女性だ。ラーメンスープはとんこつ。白濁して、ミルクを入れているのか、柔らかく甘い。横で娘が「このスープは、なかなか濃くがありますね」などと山本益博みたいなことを言っている。
谷保神社へ自転車を取りに行き、ここで家族と別れ、立川羽衣「いとう」、国立「ブ」と回る。この二店で20数冊を買う。一箱古本市で50冊近く売ったので、その仕返しに、取り戻そうとして買ってるかんじだ。「いとう」は文庫中心。村松剛『ナチズムとユダヤ』角川、保育社カラー『アメリカの旅』、深沢七郎『人間滅亡の旅』新潮といった感じ。国立「ブ」は、あんまり期待せず入って、レギュラーの棚(といえば105円)でやっぱり買えず、文庫を少しさらって帰るかと、大判雑誌ムックなどの棚の左端を見て、眼の光彩がショートした。棚一つ分、特別に古めの堅い本がまとめられ「105円から315円」と表示し、「お買得」とある。国立「ブ」でも、ほかの「ブ」でも、こんな扱いは初めて。近づくと、あるある探検隊。企業秘密だから、くわしく書かないが、柄谷行人が7、8册。中上健次の例えば河出から出た1万円近い『全短篇小説集』もある。ほか中上の絶版となった、いいところが何冊か。ほかにジャック・ラカンなんてのもある。これも買った。つまり文芸書、人文書のいいところがずらり並んでいるのだ。しかもみるかぎり、みんな105円。あわてて10冊ほど確保する。あんまり興奮したので、何冊か床に落としてしまう。それほど動揺したのだ。この「ブ」荒らしのぼくが、興奮して床に本を落とすなんて……まあ、それだけでもすごいことが起こっていることがわかるでしょう。
まだ棚には50冊以上残っていた。ぼくは人文書は専門じゃないから、自分のわかる範囲で拾っただけだ。まだ間に合う。人文書を扱っている業者、読み手は、国立「ブ」へ急げ。二階への階段を上がったら、そのまま直進、正面壁の本棚にぶつかったら右折、壁際右端の棚だ。