目黒で打上げ

いま、目黒から帰ってきたところ。ポプラ社『古本道場』の打ち上げを、担当編集者の矢内さん、鎌田さん、そしてゲストに向井くんを迎え、ささやかに挙行。5月8日の角田さんとのサイン会(5時から三省堂神田本店)、古書会館でのトークショーの打ち合わせをかねて。
せっかくだから、と少し早く家を出て、古書会館へ。書窓会は「あきつ」「克」など、思いっきり安く放出する店が出品。しかし、「あきつ」から何も買えず。こんなことは珍しい。もう「あきつ」ったら。全集の端本がいずれも500円以下とくそみそに安い「克」は、あまりに安すぎて、どれを買えばいいかわからなくなる。たとえば、吉田健一著作集(集英社)が500円なのだ。4、5册はあった。あれを買ってこれを買わない、というわけにはいかないものもあり、混乱し、かえって手が出ない。けっきょく『堀辰雄作品集』筑摩書房の第四巻を200円で買う。なぜにいまごろ堀辰雄。しかし、この作品集、装幀(岡鹿之助)がいい。昭和三十年代初めに河出から出た横光利一全集は、佐野繁次郎装幀本。5冊あって、100円だから全部買ってもいいが、重くなる。第三巻「寝園」(横光の最高傑作)が入った巻、第十二巻の随筆評論ほかの巻を買う。買い出すときりがないのが「克」なのだ。もう「克」ったら。
「みはる」も大量に廉価な本を放出。『細君百癖』の堀内新泉『人間学』(博文館・明治43年)が800円。堀内新泉はぼくの分野、買う。本を選んでいると、坪内祐三さんから声をかけられる。「岡崎さん、伊藤整の『我が文学生活』もってる?」「もってるけど」「5巻とか6巻は?」「どうかな、5巻まではあると思うけど」「新潮の日本文学アルバム見ると、6巻まであるんだよね。だけど、5巻と6巻はなかなか見ないんだよ」「うーん、そうか。じゃあ、ぼくも4巻までかもしれない」坪内さんらしい、細かいチェックだ。
次に講談社文芸文庫伊藤整が入るとしたら、この『我が文学生活』か。伊藤整のいちばんいい面が出ている文学エッセイではないか。会館を出るところで、ぶらじるの竹内くんと出会う。これから古書展にいくところ。
午前中、北海道新聞の書評、遅れて送付。青山真治『ホテル・クロニクルズ』講談社だが、どうもうまく良さをつかまえられず、難渋した。しかし、なんとかかたちをつける。昼飯くいついでに自転車で恋が窪「いとう」、一ツ橋「ブ」へ。五木寛之『風に吹かれて』集英社文庫を求めて、さまよったが、やはりない。ぜんぜんない。源氏鶏太『まだ若い』もない。「ブ」では、平野レミ和田誠『旅の絵日記』講談社、を650円というちゅーとはんぱな値段で買う。しかし、これ見ないよ。1990年の刊。