まだおんの、引越ししぃ!

林哲夫さんも日誌で書いているが、あの「カーペット叩きおばさん」すごかったねえ。「まだ、おんの。引越ししぃ」。怖いもの見たさで、午前中、ワイドショーの追っかけをしてしまう。あの憎しみのテンションの高さ、ただごとではない。エネルギーもつかうだろう。ワイドショーだけではわからない、道を隔てた隣家との、何か、こじれにこじれるいきさつがあったのではないか。おばさんだけが悪者になっているが。あのおばさん、ドラムか、和太鼓かをすれば、けっこういいリズムで叩けるのではないか。なにしろ毎日、音楽に合わせて、叩いてんだからね。
11時に東京古書会館着。新宿展、さすが三日目、雨とあって客は少ない。ゆったりと本棚と向かいあえる。武井照子・来栖琴子『三十七年目のクラス会』(主婦之友社)300円、はタイトルだけではわからないが、昭和19年にアナウンサー学校を卒業した、NHk女子アナウンサー16期生たちの回想録。それまで男性がほとんどだったのが、この期だけ戦争末期とあって、女子31人、男子1人というクラスだった。彼女たちをモデルに、NHk朝の連続ドラマ「本日も晴天なり」がつくられる。カバーは矢吹申彦。「宝島」(1974年11月号)400円、は緑色世代の料理読本。続植草甚一のニューヨーク大百科ほか。
井上明久・薮野健『漱石2時間ウォーキング』中央公論新社300円は、このところ、漱石を読んでるので。有本歡之助『誰にも出来る貯金法百種公開』実業之日本社、昭和8年、500円は、結婚日記念貯金、穴銭貯金、徒歩貯金、ニコニコ貯金など、さまざまな倹約、貯金術をコント仕立てで紹介。大真面目だが、いま読むとギャグになる。
会場で中野書店さんから、できたばかりの「アンダーグラウンド・ブックカフェ」のパンフを10部ほどもらう。刷り上がったばかりらしく、脇に抱えた本といっしょに持っていると、インクの匂いがプンプンする。
昼過ぎ、ぶらじるで筑摩の青木さんと待ち合わせ。女性古書店主の本を、書下ろしで書くための打ち合わせ。これから年内かけて、10人ぐらいの女性古書店主に取材し、まとめる。来年の早いうちには出したい、という。青木さんと、著者サイン会について、いろいろ話を聞く。なるほど、と思う話あり。
午後、サンデー毎日(車谷さん『銭金について』書評は来週号掲載予定です)。担当の岩尾さんから、「朝日も、うちの書評もそうだけど、最近、岡崎さんの書く文章、つやっぽくていい」と誉められる。誉められること少ない人生なので、うれしい。
サンデー終って、写真部でグラビア写真選び。北九州紀行、ふるほん文庫やさん、と2週分続けて作業。けっこう疲れた。しかし、写真の目、というのは、普通の目と違うので、おもしろいのだ。帰り、高円寺下車。「コクテイル」に寄るが臨時休業。駅前「赤城屋」で定食たべながらテレビで阪神・巨人観戦。今岡、桧山と連続ホームラン。うっしっしし。
行き帰りの電車内で横尾忠則自伝『波乱』を読む。これがおもしれえの。初対面の寺山修司のエピソード。「今からどちらに行かれるんですか」と横尾が聞く。「ボクシングを観に行くんだよ」と寺山。「寺山修司がボクシングというだけで、それが突然思想化するような気がした」と横尾は書く。60年代末、アングラ、サイケ、イラスト、ハレンチをマスコミは同一視していた、という記述など、ぼくは肌でうっすら覚えている。「平凡パンチ」グラビアや「11PM」などで。
帰宅すると、神戸新聞のコラム、サンコウ書店さん通じて依頼。古本について。4月から1年通じて、古本屋、古本ファンがリレーで書くという。吉川登さんの執筆分がファクスで送られてきた。ナンダロウさんからは、「不忍ブックストリートマップ」が送られてくる。さすが10コンビ、クオリティは高く、楽しいマップとなった。