マヒナスターズ

中古レコード屋にいる夢。スタン・ゲッツが日本歌謡集という二枚組アルバムを出している。君が代に始まり、鉄道唱歌、炭坑節から、星影のワルツ、柔などを演奏。へえ、こんなの出していたのか、と思う。いつのまにか弟が隣りにいて、「お兄ちゃん、知らんかったん」という。弟はジャズなんか聞いていないから、くわしくないはず。それでも知っているのか。京都へ帰るのに、特急がホームに滑り込むところ。まにあわない、線路を横断する。同じように、線路を横断していく人、おおぜいあり。前の、二人がけ椅子の車両は満員。なぜか後半、お座敷車両といったかんじで、床に座布団が敷いてある。ひとつ空いている席あり。カーディガンが置いてあるが、そしらぬ顔でその上から座ってしまう。隣りの男、それを注意しようと身構えている。こっちも身体を堅くして、もし何か言ってきたらぶんなぐってやろうと思う。
今日は朝から雨、寒い。午前中、昨夜すっぽかした中央公論の原稿を書く。やれば、そんなに時間はかからない。それをサボるのはなぜか。
昼飯はカレーの残りを温めて食べる。仕事も済んだし、雨も上がったようなので、立川栄「ブ」詣で。中公文庫に入っていた松下友子『さよならモスクワの小学校』の元本(筑摩書房)を見つける。友子は、チエホフ全集の訳者、松下裕の娘、だよね。ちがったかな、善行? 函入りの、小学生の友子の絵を使ったかわいい本だ。奈良美智『深い深い水たまり』角川書店も、よく買われずに残っていたな。105円だから買っておこう。谷川俊太郎『詩めくり』は、黒、赤はよく見るが、この青はあまり見ない。買っておこう。ほか、文庫を数冊。
帰り、いつもと違う道をジグザグと自転車で走っていたら、立川競輪場の前に出る。はじめてみた。そうか、ここが競輪場か。正門のすぐ前に居酒屋あり。男たちが昼間から集ってのんでいる。いい風景。いつか、交じって、ここで飲んでみよう。ギャンブルやって、すって、はした金で焼酎を飲む(いま、ブームの焼酎じゃないよ、宝焼酎とか)。タバコはもちろん吸う。これこそ男の姿、という気がどこかにぼくはある。帰ったら、実業之日本社から、中島らもの絶筆『ロカ』が届いていた。これは読んでみよう。
夜、阪神・巨人戦をひさしぶりにたっぷり見る。優勝した年には熱心に見たが、その後は少し冷淡に。赤星調子ええねんなあ。もちろん、結果は8対1で阪神ボロ勝ちですわ。ベンチの堀内監督の首のホクロがいつもより、大きく見えまあす。うっしっしし。あの、悪いですけど、今年は阪神、優勝ですわ。優勝できなかったら、一週間、「ブ」へ行くのを止めます。これ、大変なことですよ。
風呂に入り、彷書月刊の「こんな一冊を買った2」で、マヒナスターズのソノシートブックについて書きはじめるが終らず。マヒナスターズと、口に出しただけで可笑しくなる。