珍しく朝まで眠る。昼寝をしなかったのがよかったか。連日、夢を見る(というか覚えている)。古本屋からはようやく離れた。地方都市の通信局へ出向いて仕事の話をしている。つまらない街で、そうは言えず「静かで落ちついた街ですね」などとお追従を言う。そんな自分がイヤである。
昨日は夕方に「サン毎」送付。前は午前中に送っていたが、夏あたりからだんだん送付が遅くなっている。大出春江『産婆と産院の日本近代』(青弓社)は、もうちょっと、くわしくちゃんと紹介したかったが、字数の関係で尻切れとんぼに。
夏の疲れからか、一日の大半をベッドで過ごす。結核患者みたいだ。窓を開けると海、が見えるといいのだが。芥川龍之介が小学生時代か、先生に「美しいものを挙げよ」と言われ、ただ一人「雲」と答えて、たしなめられたというエピソードを読んだ。「雲」を美の対象とするには、コンセンサスが必要だ。もちろん「雲」は美しい。BSで、またまたまた「お茶漬けの味」を見てしまう。デジタル修復後の映像が驚く程きれい。昔、映画館で見たプリントは音声も悪く(セリフが聞き取りにくい)雨降りのひどいものだった。佐分利の妻、木暮三千代は最悪の伴侶で、いいところがまったくなく(きれいはきれい)、家の仕事はまったくせず(女中が二人いる)、夫を疎んじて(内緒で汁かけ飯を食べているのを「犬みたい」となじる)、ツンツンして金遣いがめっぽう荒い(列車は一等車、実家から援助を受けている)。こんな女、別れてしまえばいいのにと思うが、木暮の父が実力者で、どうも佐分利は、その縁で今の会社(社長は石川欣一)に入社したらしい。部長待遇にあるのも、背後に縁故関係がほの見える。勤め人はつらいよ。小津でとんかつと来れば「カロリー軒」。しかし看板と話だけ(これがうまいんだと鶴田浩二)で、向いのパチンコ店「人生道場」が映る。神田神保町のパチンコ店「人生劇場」を思う。配役で、女給「北原三枝」の名があったが、最初に出て来るバーの女店員がそうか。ちょい役。あの「北原三枝」だよな?