新文芸坐宝田明特集週間のラストへ行く。上京した頃、埼京線沿線に住んでいたので、池袋が庭、の時代があり、旧文芸坐へも行ったが、今回、それ以来ではないか。この日は宝田明さんのトークが準備され、来月、著者インタビューをすることになっているので、出かけた。エレベーターで上へ。券売機でチケットを買うシステム。一般(1350円)で買ったが、あとで気づいたら、自分は60歳以上だから「シニア」(1000円)であった。どこかで「シニア」に属するのを拒否しているのか。これから注意したい。新文芸坐のシートは、ゆったりしていて、きゅうくつな「ギンレイ」に慣れた体には心地よい。横列の移動も、これなら楽だ。席を決めかねて、立っていると、「のむみち」に声をかけられる。「いい本になってよかったなあ」と宝田本の聞き書き・構成の労をねぎらう。控え室にいる宝田さんに、のむみちに連れられ、うかがって名刺を渡し挨拶する。宝田さん、うちの母親と同い年(昭和9年)生れだと思うが、当り前だが、かっこいい。
席へ戻り、宝田さんが肺病病みの詩人・作家を演じた「放浪記」を見る。3回目ぐらいだと思うが、初めて見たように面白かったし、深く感銘を受ける。飯田蝶子(のむみちが好きな)、伊藤雄之助加東大介仲谷昇田中絹代草笛光子など脇も完璧の布陣。安心して見ていられる。奥に遊郭、手前にカフェの一角は、セットだと思われるが、出来映えに惚れ惚れする。高峰秀子は、わざと眉を曲げた(ブスっぽい)、へんてこな化粧をして、どっこい生きてる林芙美子を好演。見終わったあと、客席から一斉に拍手が起こった。それは、なんともいい感じであった。館内にいた、何人か知り合いに挨拶。2本だてのもう一本を見るのをパスして、日盛りの池袋へ。
この日、西武線を使って来たので、帰りも西武線。ほかの路線が乗り入れたり、各種列車の違いなど、勝手がわからず、西武線はいつもまごつく。利用者は、よくこんな複雑な鉄道を、乗りこなしていることだと思う。途中駅、中村橋で下車。「古書クマゴロウ」へ初見参。駅から近く、工夫のある棚で、町の古本屋としてはかなりいいレベル。若い男性店主は、帳場でしきりに作業をしていた。途中、持ち込みと、本を買った老齢の女性とのやりとりも、脇で聞いていたが、じつに好ましい。長く続けてほしい店だ。シニアの老体を休めたくなって、駅をはさんで「クマゴロウ」とは反対側の喫茶「シャノワール」へ入る。神保町店はかつてよく利用したが、このチェーンカフェは、店員の応対を含め、かなり優秀、良好な店。客も圧倒的に年輩の人が多く、その分、落ちついている。ぼくは、「シャノワール」が好きだと気づく。
帰還して、また早々と明るいうちから、ビール、焼酎を飲みながら、大相撲観戦しながら6時には沈没。「自滅」という言葉が思い浮かぶ。西城秀樹が亡くなった。「サン毎」で寺内貫太郎一家を取り上げた座談会の構成を担当したのが、一昨年か。西城さんも無理を押して参加。すでに言葉が不明瞭であったが、久しぶりに出演者(小林亜星樹木希林左とん平浅田美代子)に会えてうれしそうだった。始終ニコニコしてらした。「左とん平さんに続き、ご冥福をお祈りする。十分、歌い、生きた人だと思う。次の拓郎「ラジオでナイト」でも、きっと、同じ広島で音楽活動をしたということで、西城秀樹の死には触れられるはずだ。