昨日、国立まで買い物に出て、尿意を感じ「たましん歴史・美術館」へ。ここのトイレは大変きれいで、静かで落ち着ける。小貫政之助展をついで(といってはなんだが)に観る。大正14年東京生まれの画家で、戦後まもなく福生に転居して多摩の作家に。これは知らない画家だった。しかし、雑誌「新潮」表紙や、黒岩重吾の著書の装画をずっと手がけていたというから、どこかで目にしているかもしれない。油絵でもモノトーンで、画面を引っ掻いたり、ナイフで線を入れるなど、平面だが立体的な描き方をしていたようだ。女の横顔、正面の絵が多く、頭の上に鳥を乗せた絵も多い。長男が三島由紀夫を尊敬し、三島の死の後、自殺するなどの不幸を背負っている。年齢は違うが、同じ時代を生きた画家たちの展示もあり、香月泰男岡鹿之助宮本三郎、鳥海青児などの絵も見られて得した気分。再婚した夫人が詩を書いていて、夫婦で詩画集も作っている。絵を描く、絵を教える以外に収入がない夫を支え続けた人のようだ。名を小貫妙子、という。大貫妙子と並べて覚えておきたい。
7月からの「新潮講座」の読書会で取り上げる候補(4月から6月は決っている)を、増田書店でもらった新潮文庫解説目録をにらみながら考える。安部公房砂の女』、大江健三郎『芽むしり仔撃ち』、幸田文『流れる』、庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』、高野悦子二十歳の原点』、ブローティガンアメリカの鱒釣り』、フィッツジェラルドグレート・ギャツビー』などはどうか。みな、ぼくが青春時代に読んだ名作だが、参加者とともに読み直したいという気分である。
さるところで聞いた話だが、同年齢の知人男性が、家族内でまったく疎外され、彼だけ、妻子ともまったく口をきいてくれない、という。何か用がある時は、メモ書きを渡されるというからひどい。何か、彼がひどいことをしたというわけではないらしく、まったく不可解で、彼は家に帰るのがイヤだという。みんな仲良くしてほしい。
明日、中川フォーク・ジャンボリーは満席、とのことです。ありがとうございました。あとはキャンセル待ち、ということになります。どうしても、という方は粘り強く、国立ビブリオに連絡下さい。今日はいちにち忙しかった。変な話だが、自著の『風来坊ふたたび』(古書善行堂)を、カバンに入れ、何度も読み返している。西荻音羽館」でも扱ってもらえることが決まりました。1080円を7掛け卸し買取りで、5冊から、ご希望の店あれば、発送しますので古書善行堂へお問い合わせ下さい。まだサイン・イラスト・落款入りバージョンは残部あると思いますが、その点もご確認ください。