寒い朝ジェフリー・アーチャー解説10枚に着手するも、なかなかうまくいかない。ふだんの800字ぐらいの書評なら、一気に書く。一時間もかからないのだ。しかし、文庫解説となると、いきなり長丁場だし、気も張る。今日が本当のリミット。
そんなわけで、何かに憑かれたように書いてきた連作詩「風来坊」新作も11から始めて、24でストップ。不思議な力に導かれた数日であった。22までを善行堂に送る。なんとか、来年の還暦記念として、善行堂文庫というようなかたちで、詩集にまとめることはできないかと打診中だ。これからは年内にかけて、30ぐらいまで、ぼちぼち書き継ぎたい。新作「10」を「スムース詩集」(林哲夫さんの還暦に合わせて作られた)に書いたのが、一つのきっかけ。そこで何かが動き出した。
屈託を持つ、旅する孤独な青年に、書き出すことで今の思いを仮託するようなスタイルで書き継いだ。宿場、雨、犬、炭焼きの煙など、思い付くままに言葉を一つ与え、そこから着地を考えず書き出したのだ。言葉が途切れなく、湧き出るように続き、神がかった気がした。これを60歳の記念としたい。
12月初旬には、原書房から『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』というタイトルの、書評とコラムを主体としたバラエティブックが出される予定。こちらのゲラももうすぐ、どかんと送られる。「風来坊」を書くことで、旅心が刺激され、11月末から12月初め、「大人の休日」パスを使って、できれば東日本を旅したい。続けて4日、という縛りが厳しいが、2日を古本屋がらみ、2日を「風来坊」取材にあてたい。できるかなあ。これは自分次第だ。前から横川から軽井沢まで碓氷峠を踏破するコースを歩きたいと思っていた。