年に一度のjpic読書アドバイザー講座「古本」部門に登壇するため神保町へ。いつもと同じ話だと、自分でも飽きるので、寺田寅彦『柿の種』におけるオドロキの発見の話をする。「暮しの手帖」と林澄子の話も、そのほか、古本の現物を見せながらのショーだ。この講座、毎年、違う顔の参加者が100名ぐらい集まる大所帯だが、図書館関係者、出版社など、本周りの関係者が多いから食いつきと反応がいい。大いに沸く。じつに喋り甲斐がある。1時間20分があっというまだ。メモしている人もけっこういる(メモするような話ではないのだが)。
終わってロビーで、これも恒例、一人「一箱古本市」を開催。こっちもよく売れた。8割方売れたのではないか。控え室で大量の自著サインもする。次に登壇する大御所・永江朗氏(この講座の統括、校長である)も、自著に静かにサインをしている。午後から豊崎由美さんも登壇。
用意された「今半」の上等な弁当を食し、開催中(この日が最終日か)の秋の青空古本まつりを覗くが、あまりの混雑にたじろぐ。すずらん通りの各出版社の出店を冷やかし、白水社誠文堂新光社本の雑誌社工作舎などで、知り合いの編集者に声をかける。本の雑誌社には、まるで社長のように古ツアさんが鎮座していた。工作舎では『新・文學入門』を手にした男性がいたので、声をかけ「サインする」と押し売りをした。どこも半額とか、値引きして在庫を売っているのだが、最後の最後には、全品100円になる出版社もあるという。2日で100万売ったりするとか聞いて、本が売れないという嘆きはどこの空か、と思う。
30分ほどで神保町に別れを告げ、帰り「ささま」へ寄る。東京ものを4冊買う。後ろ見返しに、エンピツ書きの前の所有者による書き込みがあって、同じ人が売ったものらしい。しかも荻窪「笹間書店」にて、なんて書かれてある。巡り巡って、また元の店へ流れ着いたというわけだ。
なんだか疲れがひどく、駅ホームの自販機で、ロイヤルゼリー入り180円リポDを飲むも、効き目なし。車中で、中公文庫に入った関川夏央汽車旅放浪記』を読み継ぐ。小湊鉄道で、上林暁が出てくる。そんな文章あったんだ。自転車、あいかわらず調子悪く、崖から投げ捨てたくなる。連作詩「風来坊」新作は、ナンバー「11」から書きはじめ、数日で「26」まで達した。今年中に20編以上書けそうな勢いだ。いくらでも書けそうな雰囲気なのだ。